植物の光合成には太陽が必要ですが、脳の光合成に必要なのは自己認知です。つまり人間は自分の力で脳を育てることができるのです。
さらに、自己認知の光合成によって自分の可能性が広がっていることを実感できると、自然と自己肯定感が上がります。先ほど、自己認知と自己肯定感は比例していると述べたのは、こういうわけです。
親の理解が光となり
子どもの脳が育だつ
他者による認知でも、自己認知とまったく同じことが起こります。
親が子どもの脳を理解し、今まで大きくなれずにいた部分に認知という光を当てることで、その部分の光合成が起こり、成長する。それは子ども自身も確実に実感します。
こうして子どもの脳の可能性が広がることに親が寄与するほどに、子どもの能力だけでなく、子どもの自己肯定感をも底上げすることができるのです。想像上の話ではなく、これは脳の仕組みの話です。
また、今まで1万人以上の方の脳を画像診断し、親子で来院された方々と密に向き合う中で、私が実際に目撃し、実感してきたことでもあります。
脳をもっとも伸ばすのは、自己もしくは他者による正しい認知と理解であり、脳を知る一番の意義はそこにあるということを、私は、まさしく脳から教わりました。
脳画像診断を始めて約35年になりますが、脳から受けたこの教えは、いろいろな方々の脳を診れば診るほど確固たるものになっていると感じているのです。
意識づけや行動習慣で
脳はいくらでも変化させられる
決して勘違いしないでいただきたいのは、「今の脳」で将来が決まるわけではない、ということです。なぜなら、「常に変化し続ける」というのが脳の本質だからです。
まだまだ成長段階にある思春期の子どもの脳ではなおのこと、「今の脳」は今後、いかようにも変わりうるのです。
今の脳の特性を進展させることもできますし、比較的発達度合いが遅い脳番地(編集部注/脳細胞の集合体を、働きの傾向ごとに8つに分類したもの)を鍛えることで、自分が「なりたい脳」へと変えていくこともできます。
とはいえ、脳はひとりでに変化するのではありません。脳に変化をもたらすのは、周りの人たちの接し方や言葉がけ、あるいは本人の意識づけや行動習慣です。