さらには、すべてのライターが、あるいはすべてのアナウンサーが、まったく同じ脳の仕組みを持っているわけではありません。同じ職業に就いている人たちが、脳画像を見てみたらまったく異なる脳特性を発揮しているというのも、よくあることなのです。
たとえば、同じ「アナウンサー」という職業でも、古舘伊知郎さんと安住紳一郎さんとでは、発揮している脳特性は違うはずです。
脳画像診断をすれば違いを詳らかにできると思いますが、「この2人の個性がかなり違う」ということだけは、皆さんにもお分かりいただけるのではないでしょうか。
要するに、「今の脳」を見て、「こういう傾向があるから、ライターになるべき」「アナウンサーになるべき」などと、その脳の持ち主の将来を固定することは誰にも――たとえ脳の専門家である私にも、できないのです。
脳に刺激を与えていけば
あなたの潜在能力は開花する
子どもの脳で、比較的発達度合いの強い脳番地を、仮に「強み」と呼ぶことはできますが、比較的発達度合いの低い脳番地は、「ダメ」というわけでは決してありません。
それは、いわば「眠っている脳番地」であり、今後の刺激の加え方次第でいくらでも鍛えられる「潜在能力」と呼ぶべきでしょう。その脳番地が覚醒し、活性化されたら、別のタイプになる可能性もあるわけです。

つまり、それほど脳とは常に揺れ動いており、1つの傾向、1つのタイプの枠に完全に収まるほど単純なものではないということです。言い換えれば、すべての脳が、ものすごい潜在能力を秘めているのです。
ですから、診断テストを一度行っただけで「これが我が子の脳」と決めつけるのではなく、常にお子さんを観察し続けてください。そして数カ月ごとに診断テストを行い、現状確認をするのもいいでしょう。
本記事をお読みになっているのがお子さんご本人である場合も同様です。
繰り返しますが、一度の診断テストの結果で将来が決まるわけではありません。
自分の意識づけや行動習慣によって、脳は、いかようにも変わりうる。そのことを念頭に、ご自身やお子さんを常に振り返りながら、前向きに脳と付き合っていっていただけたらと思います。