いい成績を想像したグループが
一番成績が悪いという結果に
結果はなかなか興味深い内容になりました。
グループ1の学生は、勉強時間がもっとも少なく、成績も最低でした。たしかに、視覚化している間は「気分がよかった」という利点もありますが、実際の成績が悪かったのですから、気分がよくてもあまり慰めにはならないでしょう。
引き寄せの法則は自分には効果があったと主張する多くの人々も、この結果から何か学ぶことがあるかもしれません。
勉強している自分を視覚化したグループ2の学生は、実際によく勉強し、他の2つのグループよりいい成績を取りました。それに加えて、試験へのストレスも減ったと報告しています。
ファムとテイラーの研究からわかるのは、視覚化にはたしかに効果があるが、ただポジティブな結果を夢想するだけで願望が現実になるわけではないということ。
つまり、引き寄せの法則の効果は実証されなかったということです。
起こってほしい変化を想像するだけでは幸運を呼び込むことはできませんが、その変化を起こすために必要なことを視覚化するという行為には、たしかに効果があるようです。
とはいえ、たった1つの研究だけで、引き寄せの法則に効果はないと決めつけるのも間違っているでしょう。
2015年、学術誌の『欧州社会心理学ジャーナル』に、引き寄せの法則の効果を検証する研究が紹介されました。学生を対象に、引き寄せの法則を使えば実際に好きな人と付き合えるか、という実験を行ったのです。
妄想で好きな人と付き合うと
リアルで告白ができなくなる
エッティンゲン、カッペス、グッテンベルク、ゴルヴィツァーの4人からなる研究チームは、実験の参加者に、自分の好きな人と何らかの形で交流するさまざまなシナリオを与え、それぞれの場面について想像するように言いました。
次に4人は、参加者たちが想像した内容を「とてもネガティブ」から「とてもポジティブ」の範囲で分類しました。ポジティブな夢想の中には、部屋の反対側にいる相手と目が合い、お互いに一目惚れするといった、ありがちな内容も含まれています。
逆にネガティブに分類された夢想には、かなり悲惨な内容もありました。たとえばある女子学生は、「私たちは2人ともフリーで、彼が私のほうを向いて笑顔で話しかけてきた。それなのに私は、なぜか自分にはすでに彼氏がいると答えてしまう」という想像をしています。