疋:はい。我々は「BRINGS ME CLOSER TO THE ARTIST」と横文字で言っています。日本語にすると、「目をつぶればそこにアーティストがいるような感動体験」になります。これが我々のキーワードです。もっと噛み砕いて分かりやすく言うと、「聴く人の心を震わす音で感動を届けたい」という感じですね。

F:それをアウトランダーに載せると、どうなるのですか?

疋:アウトランダーの中で音を聴いている人が、すごく感動して「カッコ良かった」とか、「もうすごく切なくて涙が出ちゃった」と言ってもらえることが我々の使命だと思っています。そして最終的に「アウトランダーの音ってすごいよね」と言ってもらえたら、我々としてはベストの仕事をしたと言えると思います。

200万円のハイエンドスピーカーと同じ振動板を採用

F:今回のオーディオで、特に注目すべき技術的な点はありますか?

疋:注目していただきたいところはたくさんありますが、今回は特にスピーカーの振動板にこだわりました。これはホームオーディオの中でヤマハのフラッグシップモデルになるNS-5000というモデルと同じ素材を使っています。左右セットで200万ほどするスピーカーです。

F:左右で200万。一本100万円……うひゃー。

疋:ザイロンという東洋紡さんの製品なのですが、引張強度が鉄の10倍くらいあって、弾性率が高くて、耐熱性が高く熱膨張率が低く耐衝撃性にも優れた強化繊維です。このザイロン素材を車載環境向けに、耐湿・耐振動・耐熱処理を施して再設計しています。これにより、フラッグシップ直系の音が実現できました。特徴としては、非常にクリアで解像度が高く、澄んだ音がします。

 そしてこのスピーカーの実力をいかんなく発揮させるために、三菱さんには車両の方にこだわっていただきました。やっぱりスピーカーは、ボックスがちゃんとしていないと良い音が出ないので。残念ながら我々だけではどうにもできない部分があるんですよね。