スピーカーのためにドアを1kgずつ重く、ヒンジを強くした

F:ドアの部分ですか?

三菱自動車 第二車両技術開発本部 電子実験部 インフォテイメント実験 主任 賀来馨さん(以下、賀):はい。普通はマイナーチェンジでドアを変えることはないのですが、今回はいろいろ変えました。スピーカーはこのドアパネルにスクリューで取り付けているのですが、その取り付け部分の剛性を高めて、スピーカーが動いてもドアを揺れにくくさせたんです。

 さらに、ドアのヒンジを支える部分の構造を変えて補強しています。これでドア全体の振動を制限しています。

F:ドアが揺れにくくなる。音に合わせてドア全体が揺れちゃ困るので、ヒンジも強くしたと。

疋:ホームのフラッグシップスピーカーであるNS-5000の箱って、もの凄く重いんですよ。分厚い木でできているんです。だからしっかりした、パンチ感のある音が出せるんです。でもクルマだとそうはいきませんよね。ドアは金属だけどかなり薄い。しっかりさせたらどんどん重くなっちゃう。

F:本当はもっとドアの鉄板を厚くしてくれと言いたいところなのだけれど……。

疋:そうなんです。理想は金庫みたいに分厚い鉄板にしてもらいたいのだけど、そうはいかない。そこで三菱さんにご相談すると……。

秋:制振材を貼って、スピーカー取付部とヒンジの部分を強化して、ドア自体を揺れないように改造しました。これによりドア一枚あたり1キロほど重くなっています。マイナーチェンジで重くするなんてことは、普通許してもらえないことです。本当は重くしたくないんですが、結果的に重くなっています。基本クルマは軽くする方向で造っていくものなので。

マイチェン前のアウトランダーに今のスピーカーを付けたらどうなる?

F:そこまでして……するとマイナー(チェンジ)前のアウトランダーのドアに今のスピーカーを取り付けても、同じ音は出ないと?