日本代表の復帰を受けて
感謝と謝罪を綴るコメント

 日本サッカー協会(JFA)の山本昌邦ナショナルチームダイレクターは「サッカー界としてあらゆる差別や暴力、ハラスメントを許容しない。そして、引き続き厳正な姿勢で臨んでいく。いっさいの妥協も許さない」とJFAのスタンスを強調したうえで、佐野を復帰させた3つの理由を説明した。

「1つ目は、相手の方に対して謝罪して、さらに話し合いの場をもったと確認していること。2つ目は、本人が深く反省していること。3つ目は不起訴処分という判断が検察によって下されていて、刑事事件としては罪に問われず終了していること。これらを踏まえて選出しました」

 ヨーロッパでプレーする代表選手たちを現地で頻繁に視察している森保監督は、マインツへ足を運んだ際には佐野とコンタクトを取った。そのなかで反省に加えて「真摯にサッカーに向き合い、社会に貢献する、という強い気持ちをもってプレーしていた」と確認できたという指揮官もこう続けた。

「再び彼をチームに迎え入れ、指導者として彼と向き合いながら、社会に貢献する日本代表の一員として一緒に戦っていってもいいのではないか、という判断に至った。協会の方々ともいろいろな話をしてきた私自身が、この1シーズンを見て最終的に決めた。日本代表チームを家族と考えたときに、一度のミスを犯した選手をそのままサッカー界から、社会から葬り去るのか、という点に関して、家族として再びチャレンジする道を与えてもいいのではないか、という考えのなかで判断させていただいた」

 今年2月には能登半島地震に対して100万円の寄付を行っている佐野も、日本代表への復帰を受けて、再び所属するマネジメント会社を通して感謝と謝罪を綴るコメントを発表している。

「サポーターやファンの皆様の前で、サッカー選手としてしっかりプレーできるように、今後も努力を継続していきますし、全力で頑張ります。そして、いろいろな人にご迷惑をかけてしまったこと、大変申し訳ございませんでした。サッカー以外の部分についても、今後も自分のできる社会貢献活動などを継続させていただき、日々努力していきたいと思います。本当に申し訳ございませんでした」