「招集撤回」と「辞退させないで」
2つの署名活動
佐野は敵地で6月5日に行われたオーストラリア戦でボランチとして先発。昨年1月24日のインドネシアとのアジアカップ・グループステージ第3節以来、498日ぶりに日本代表としてプレーした。
そして、復帰戦の前後からオンライン署名活動サイト『change.org』で、佐野の招集撤回を求める署名活動が行われている。活動を開始した趣旨として、次のような理由が明記されていた。
「森保監督は『一度のミス』という表現を使用しましたが、こちらは単なるミスではありません、故意の行為でした。(中略)性暴力を犯す行為は、法と道徳を軽視した行為であり許されるものではありません。性暴力を二度と起こさない抑止力にするためにも皆様のご署名をよろしくお願いします」
一方で、同じサイトでは「佐野海舟選手を日本代表から辞退させないでください」とする署名活動も始まった。こちらの趣旨には、佐野が逮捕された事実を踏まえたうえでこう綴られている。
「その件については不起訴処分が下されており、法的には決着しています。本人も誠実に反省の姿勢を見せ、現在はプロサッカー選手としてまっすぐに向き合いながら、信頼を積み重ねています。私たちは過ちがあったとしても、人には更生の機会が与えられるべきだと信じています。過去を理由に、その人の未来まで否定する社会であってはなりません」
X(旧ツイッター)上では「#佐野海舟を日本代表にするな」というハッシュタグが拡散され、同時に佐野を擁護するスレッドも立った。賛否両論が沸きあがった状況だが、そのなかでSNS上では“否”のほうが多かった。状況的には佐野がマインツ入りした昨夏と酷似していると言っていい。
森保ジャパンでは昨年1月に、週刊誌で性加害疑惑が報じられた伊東純也が、カタールでアジアカップを戦っていたチームから離脱した。準強制性交致傷容疑で刑事告訴され、同3月と6月の代表活動では選外となっていた伊東に対して、大阪地検は8月になって嫌疑不十分で不起訴処分にしている。
そして、森保監督はアジア最終予選がスタートした9月から伊東を代表に復帰させた。理由として挙げたのは不起訴処分ではなく、伊東が所属する仏リーグ1部のスタッド・ランスが直前の7月に行った日本ツアーで、伊東がメディアやファンから温かく迎えられる状況を確認できたからだと明かした。