伝え方が、学問として教えられていない

佐々木 そんなふうに言ってもらえると、すごくうれしいです。僕とおさむさんは、同じ1972年に生まれているんですよね。全然、違う場所で生まれ育ってはいますけど、おそらく同じようなテレビ番組を見ていたでしょう。「8時だヨ!全員集合」を見て、「オレたちひょうきん族」を見て。そうやって育ってきた世代だと思うんです。

 でも、その後はまったく違う進路を歩んできた。僕は理系に行って、コピーライターという道を進みました。そのために、たまたま今まで、出会ったことがなかったんですが、この間、ラジオに呼んでいただいたことがあって、おさむさんと人生で初めて会ったとき、気づいたんです。

 おさむさんの書いてきた手法や取り組んできた手法と、僕がまったく別のルートでやってきた手法とが、けっこう似ている部分があったということに。そういうのが、確認できるというのは、面白いなぁと思ったんですよね。
 おさむさんの本質と、僕の思っている本質が、似ているんじゃないかと。

鈴木 同じなんだと思いますね。おそらく秋元さんも、同じだと思います。秋元さんの、僕に問いかけ、言葉を解いていく方法論には、『伝え方が9割』に書かれていることが、たくさんあるのではないかと思います。

 秋元さんは天才的ですけど、人にものを伝えたり、人をやる気にさせたりするのが、異常なほどにうまいんですよ。話をしていたら、よくわかりました。話していることが、直さなくてもそのまま文章になるくらいですし。

 それは、伝え方のプロだから、なのであって、『伝え方が9割』に書かれているようなことが、自然にできているんだと思う。例えば、「運をどうやってつかむか」ということを、『天職』の中ではいろんな言い方で伝えている気がするんですよね。

佐々木 そんな気がしますね。

鈴木 「いや、ほとんど運だよ」と言っていますけど、実際にはほとんど運でもないところを、秋元さんが語っていたりする。しかも、わざと残酷に言っていたりする。
 そういうところが、秋元さんなりの伝え方の方法論なのかもしれません。それを聞いていて、すごく面白いなぁと僕は思ったし、勉強になりましたよね。

佐々木 なにか、そういうものが、今は学問としてないのかもしれないです。もしかしたら、今のような世の中だからこそ、そういうものが求められているんじゃないかと思うんです。

鈴木 それは、間違いなくあると思いますね。

(後編に続く)


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「伝え方が9割」バックナンバー

第1回 無理めな、あの人に デートOKをもらうコトバとは??

第2回 チカン多発地域!ある看板をつけたら チカンが発生しなくなった、そのコトバとは??

第3回 困った自転車放置!ある看板をつけたら放置がなくなる、そのコトバとは?

第4回 子どもが言っても勉強しない!言い方を変えたら、勉強をはじめたそのコトバとは?

第5回 いままで伝えることが苦手だった人のほうが、この方法で劇的に人生が変わる【本田直之×佐々木圭一】(前編)

第6回 伝える技術って、相手のことを想像する技術でもあるんです。【本田直之×佐々木圭一】(後編)

第7回 「相手のことを想像して伝える」それが、この本に書いてあるすべて【姜尚中×佐々木圭一】(前編)

第8回「心」という小説を書くことで、亡くなった息子に近づきたかった【姜尚中×佐々木圭一】(後編)

第9回 なぜDJポリスの伝え方が、群集を動かしたのか?そこに使われていた「伝え方のレシピ」。

第10回 DJポリスが伝え方で使った「チームワーク化」。これを使えば動かない人も動く。

第11回 実は隠れコンセプトは「相手のことを想像する技術」【元スターバックスコーヒージャパンCEO・岩田松雄×コピーライター・佐々木圭一】(前編)

第12回 上司は、自分が上司にやっていることを部下にも同じように求める【元スターバックスコーヒージャパンCEO・岩田松雄×コピーライター・佐々木圭一】(後編) 

第13回 伝え方を身につけたら、日本企業は強くなる【サイバーエージェント藤田晋×佐々木圭一】(前編)

第14回 技術者こそ、伝え方の技術を学べばいい【サイバーエージェント藤田晋×佐々木圭一】(後編)

第15回 自分を世の中にどう伝えていくかが重要なこと、みんな肌で感じ始めてきてる【しずる村上×佐々木圭一】(前編)

第16回 世の中のいい言葉には、法則がある【しずる村上×佐々木圭一】(後編)

第17回 伝え方で勝利!オリンピック東京招致プレゼン

第18回 2013年は、話しベタ日本人の「伝え方元年」