会社が何で回っているのか? をずっと考えていたリクルート時代

保田 在庫管理やキャッシュフローのマネジメントはとても重要ですが、最初からそこに目が行く人って、実はなかなかいないんですよ。望月さんはその視点もリクルートで培われたんですか?

望月 私は、会社は何で回っているのかな? といったことをリクルート時代にずっと考えていました。何が一番大事で、何をしなければいけないのだろう、と。今の会社を継いでからはジュエリー業界って、なぜ倒産するのか? なぜ伸びないのか? そんなことばかり考えていました。行き着いたのは、在庫管理をきっちりやって、キャッシュフローマネジメントを徹底することに尽きるというものです。

保田 リクルート時代は、どんな仕事をされていたんですか?

望月 業種別ランキングのトップ10の会社へ、メール・FAX・WEB・モバイルなどのコミュニケーションツールを使って営業するという部署にいました。業界トップ10の会社だったら、お金を持っているから予算がありますよね。その予算を取りに行けば何かビジネスになるのではないか。たとえば、A社にいきなり電話してアポを取るんです。当然「リクルートさんが何しに来るんですか? 当社は人材は間に合っています」と言い返されます。「いえいえ。人材の提案ではありません。広報部や経営戦略室へ提案に行きたいんです」「何の提案ですか? とりあえず資料を送ってください」「いや、資料はお見せできないので、とにかく会わせてください」という具合にアポを取るんです。そして、面談して話を聞きながら「今度提案お持ちします」とやるわけです。

田中 ずいぶん、場当たり的な営業をしていたんですね(笑)。でも、それこそ究極の営業ですけどね。

望月 伸びている会社や興味のある会社に電話してアポを取って、ということを繰り返していました。そして、サービスの内容は特に決めずに、お客様のニーズを探り出してから初めてサービスを考えるというシンプルな営業をしていたんです。だから、お客様によって、代理店を活性化させましょうとか、店舗で配布するチラシを作りましょうとか、社内報を出しましょうとか、ニーズに合わせた提案をします。その会社のビジネスを成長させるためには何をしたらよいのか、そして、どうしたらこの会社とビジネスができるのか、といったことを考えることが好きでした。夜遅くまで電話をかけてアポを取って……ということも本当に楽しかったですね。


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