法則7 異動や抜擢で「いまに甘んじない組織」に

 会社を健全な状態で存続させるには、時代の変化に対応できるしなやかな組織づくりが必要です。そのための要となるのが、やはり人(社員)の力です。社員一人ひとりが時代の変化を見て、自発的に動いてくれるようになれば、おのずと組織としての「変化への対応力」も向上します。

 ただし、組織には「柔軟さ」「しなやかさ」「変化」とは逆向きの力――「硬直化」に向かう力も常に働いているので、注意しなければなりません。

 派閥による硬直化を回避するには、社内派閥における親分系の上司を異動させる方法があります。すると、その親分に抑え込まれていた社員たちが自由になって、力を発揮できるようになります。前の親分よりももっと優秀な親分が出てきて、現場の社員の力をそれまで以上に引きだしてくれるかもしれません。

社員に3年以上同じ仕事をさせないことも、組織の硬直化防止に有効です。ある仕事に就いた社員は、3年続けると仕事の全体像がだいたい見えてきて、5年続けるとベテランの域に達して、7年続けるとほかに変わる人がいない状況になります。

 そうなると、その社員はもはや動こうにも動けない状態に陥ってしまいます。そうなる前、だいたい3年ぐらいを目安に定期的に異動をさせて、モチベーションを維持させるとともに、社員のスキルが陳腐化しないように配慮しなければなりません。組織の硬直化を回避して「いまに甘んじない組織」をつくるために、異動や抜擢などさまざまな対策を講じなければなりません。

I work for you――社員のために働く

 課題を抱えた企業の再生や成長には、社員を「動かそう」とするのではなく、社員が「動きたくなる」環境整備が欠かせません。社長は「I work for you」、つまり、社員のために働くべきなのです。

 2015年は、私にとって節目の年になります。1985年に社会人になりましたので「社員」としての経験が15年。2000年からは複数の企業で代表者(社長)という役割をやっていますが、これが今年で15年目です。これからは「社長」歴のほうが長くなります。

 この連載は、この30年間で私自身が経験したこと、失敗したことからの学んだエッセンスを「自発的に動く社員を育てる7つの法則」としてまとめたものです。悩める社長のみなさん、未来の社長のみなさんにとって格好のヒント集になれば幸いです。

 お読みいただき、ありがとうございました。