ほしいバイトリーダー、
いらないバイトリーダー

B店長(男性)某ファストフードチェーンで店長歴7年。現在は都内(23区外)の店舗を担当。学生、主婦、フリーターと多様なアルバイトを抱える。

【B店長】リーダー格のアルバイトが原因で、辞めていく新人って意外に多いですよね。ですので、その人の権力をそぎ落とすように、仕事を少しずつ減らしていくなど気をつけています。店になくてはならないリーダーと、ガンになっているリーダーがいますから。
学生さんのリーダーと主婦のリーダーとでは、主婦の方のほうがこちらの意見を尊重してくれます。その店で何年も務めている方だと、辞めてしまうとほかの店で新入りとして働かなければなりませんし、年齢的にも仕事を探しづらいというのがあるからかもしれません。一方、学生さんやフリーターだと、言うことを聞いてくれないし、気に入らないとすぐ辞めちゃいます。

【C店長】たしかに主婦の方は協力的ですね。逆に、前の店では私の一つ年上のフリーターが対立して辞めてしまいました。自分の考えややり方を完全に押しつけてやっていくタイプでしたが、私と合わなかったので辞めていきました。長期間働いてくれて助かってはいましたが、店の雰囲気にとってはあまりよくなかったので、辞めてもらって正解でした。

【B店長】そうですね、手術みたいなもので、当然痛みは伴うんですけど、先のことを考えると切るしかない。別の人の陰口を言ったり、自分の気に入った人だけかわいがって派閥をつくってほかの人は放置したり……。そういう人がいると、新人さんが入りづらい環境になってしまいます。

【中原】店長は、痛みを覚悟して「店の大手術」をしなければならないときもあるのですね。

【B店長】新人があまりにも成長してしまうと、自分のシフトを減らされるのではないかと危惧する古参のアルバイト、リーダーもいますね。「育てると自分に不利益をもたらす」と考えるわけです。たとえば、昼の時間がきついので一人採用するとします。その時点で仕事が10あるとして、8しかできていないからもう一人増やすわけなんですが、結果として12くらいになって2余ってしまう。すると、元からいた人は「自分が稼げなくなる」と考えるんです。だから、ベテランの中には「人が慢性的に足りていないほうが、自分が頼られるので心地いい」という人がけっこういると思います。

【C店長】ちょっとうらやましいですね。うちは少人数でいつもカツカツなので、ベテランのリーダーには逆に「いつもごめんなさいね。またこの時間、入ってください」とお願いばかりしている状況なので(笑)。営業時間が朝4時までなので、できるだけ事前に連絡して、なんとか調整しています。