新人アルバイトをどう育てていくか

【中原】アルバイト育成という観点でいくと、先ほど新人さんの戦力は1にはならないという話が出ましたが、最初は0.1くらいですか?

【A店長】そうですね、0.1とか0.2くらいです。

【中原】そこから少しずつ能力を伸ばしたり、仕事の経験を積ませたりするときのコツはありますか?

【A店長】最初は負担になるのは前提ですが、先のことを考えると新人さんをとにかく入れて育てていかなければいけません。ですから、新人さんにいかに「私は足手まといだ」と疎外感を感じさせないようにするかに気をつけています。

【中原】店長さんがいないときは誰かに頼むんでしょうか?

【A店長】リーダーやベテランに任せるということになります。リーダーには、「これまでは仕事ができることで認められていたけれど、これからは新人さんを育てることがあなたの評価になるんですよ」と役割を教えています。

【C店長】新人さんは本当に0.1からのスタートですが、社員は私1人しかいないので、正直、ちゃんと教えられないところがあります。最初の1回は付きっきりで見るようにはしていますが、2、3回目以降は先輩アルバイトやリーダーに、「この人はこんなタイプの人だからお願いしますね」と事前に伝えて教育してもらうようにしています。教育にもっと時間をかけたいのですが、かなり時間が限られているので現実的には難しいですね。

【中原】教育時間は何時間くらいなんですか?

【C店長】仕事をしながら40時間くらいです。それが多いか少ないかはわかりませんが、私自身は少ないと思っています。教育する専門の係がいないので、教える側も働きながらのわけです。付きっきりで教えるというより、作業しながら教えるシステムになっていて……。これはたぶん昔からの伝統だと思うんですが、それで一人前になるかといえば、正直、中途半端なまんまというのが現状だと思います。

【B店長】私のところは、通常4人で営業しているお店に新人1人が入ると、一緒に教える人も追加されて6人体制でお店を回していくというシステムになっています。お店の運営に極力関係しない、教える専門の人が追加でいるという感じです。

【中原】そうすると、育成コストがけっこうかかりませんか?

【B店長】昔からそうやってきた会社ですから……。「大丈夫」と思えるようになるまで、新人さんを入れて6人でまわします。