脱炭素#予告編Photo:Katsumi Murouchi/gettyimages, Bim/gettyimages

脱炭素をクリアできない企業は、ビジネス参加の入場券さえ得られない――。環境負荷の低減が、企業の経営課題の「本丸」として据えられる「脱炭素時代」が到来した。コロナショック後、欧州で先行していたグリーンシフトの動きが中国や米国にも広がり、3000兆円を超える巨大マネーが環境関連分野でうごめいている。「ESG投資」が世界の潮流となり、主要国・グローバル企業は脱炭素の新たな技術・ビジネスモデルに投融資を呼び込もうとしのぎを削っているのだ。翻って、日本企業は完全に出遅れた。電動化シフトに遅れた自動車業界、温室効果ガスを大量に排出する鉄鋼・化学業界、再エネ促進が進まぬエネルギー業界――、あらゆる業界が「脱炭素」シフトの大試練に立ち向かおうとしている。2月1日(月)から2月7日(日)までの全12回でまとめた『脱炭素 3000兆円の衝撃』では、世界の潮流から出遅れた日本企業の処方箋を模索する。

#1 2月1日(月)配信
トヨタ・パナ電池合弁に血税補助金1兆円!日本はEVで「半導体の二の舞い」を避けられるか【スクープ完全版】

脱炭素#1Photo:picture alliance/gettyimages

 世界的な脱炭素シフトを受けて、経済産業省がトヨタ自動車とパナソニックの電池合弁会社などの車載電池向けに1兆円規模の金融支援を検討していることがダイヤモンド編集部の取材で分かった。電気自動車(EV)の基幹デバイスとなる車載電池では、中国CATL(寧徳時代新能源科技)を筆頭に中韓勢による激しい投資競争が繰り広げられている。経産省内部には、かつて投資競争と戦略で敗北した半導体の「二の舞」を回避すべきとの意見が根強い。今回の政府の金融支援により、グローバル競争で遅れをとる日の丸電池の再起を図る構えだ。果たして、日本勢に勝算はあるのか。

>>記事はこちら

#2 2月1日(月)配信
脱炭素マネー3000兆円に群がるファンド、コンサル…「グリーンバブル」の正体

脱炭素#2Photo:Petmal/gettyimages

 いまや世界の環境関連投資は3000兆円を優に超えた。主要国政府による環境補助金の積み上げと、金余りを背景とした巨額マネーのSDGs(持続可能な開発目標)・ESG(環境・社会・企業統治)投資への流入で、資本市場はさながら「グリーンバブル」の様相だ。過熱する環境バブルの裏側では、ブームに踊らされる企業につけ込むファンド・コンサルティング会社が暗躍している。

>>記事はこちら

#3 2月2日(火)配信
トヨタは減益8700億円で壊滅危機、自動車7社「EV100%化」の影響を独自試算

脱炭素#3Photo:JIJI

 政府方針どおりに2030年半ばに「脱ガソリン車」を実現するとしたならば、日本の自動車メーカー7社への影響はどうなるのか。先進国の車種を全てEV(電気自動車)100%に転換した場合の雇用・損益への影響を独自試算した。トヨタ自動車は8700億円もの減益となるなど、「シビアな結果」があぶり出された。

>>記事はこちら

#4 2月2日(火)配信
3メガ銀が脱炭素に30兆円融資でも「全く足りない!」企業が悲鳴

脱炭素#4Photo:leonard_c/gettyimages

 遅ればせながら、日本の3メガバンクグループが環境関連融資に30兆円を投下することを表明した。実際に、グリーンボンドやサステナビリティローンなど企業の資金調達を目的としたエコ金融商品を多数繰り出している。企業の脱炭素シフトは既存事業の膿を出す作業でもあり、環境分野への新規投資以上に、脱炭素への「移行(トランジション)」にこそ巨額資金が必要となる。環境を超越した日本企業の大構造改革を進めるには、30兆円では全く足りない実態が浮かび上がっている。

>>記事はこちら

#5 2月3日(水)配信
日本製鉄とJFEの“神戸製鋼救済”計画が吹き飛ぶ!「炭素ゼロ圧力」のすさまじさ

脱炭素#5Photo:JIJI

 日本の製造業で最も多く二酸化炭素を排出している鉄鋼業界への風当たりはすさまじい。国内3位の神戸製鋼は日本製鉄とJFEホールディングス(JFEHD)のどちらの傘下に入るのか。かねて鉄鋼業界は「再編待ったなし」の最終局面まで追い詰められていたところに、脱炭素旋風が直撃。鉄鋼3社の将来計画には大きな狂いが生じている。

>>記事はこちら

#6 2月3日(水)配信
三井物産・三菱商事のエネルギー部門幹部に聞く、脱炭素で「LNG火力発電撤退」はあるか

脱炭素#6Photo:JIJI

 世界的な脱炭素の動きをにらんで、三井物産や三菱商事は海外石炭火力発電事業の撤退・新規投資取りやめの方針を決めるなど、エネルギー部門の資産の入れ替えに着手している。では、石炭火力発電に比べればエコだが温暖化ガスを排出する「LNG火力発電」に未来はあるのか。水素や風力など再生可能エネルギー関連ビジネスへの本気度はいかほどか。商社の屋台骨を支えるエネルギー部門の幹部を直撃した。

>>記事はこちら

#7 2月4日(木)配信
中国「バカ売れ46万円EV」のモーターを日本電産が受注!それでも日系自動車に迫る危機

脱炭素#7Photo:Bloomberg/gettyimages

 EV(電気自動車)シフトに出遅れる日本の自動車産業の中で、EV向け「トラクションモーターシステム」で勝負を懸ける日本電産の株価はついに8兆円を超えた。世界的な脱炭素シフトにより、モビリティ業界の「コモディティ化」と「ゲームチェンジ」が日本企業の想定した以上に急加速している。日系自動車メーカーに迫り来る二つの危機の全貌を解き明かす。

>>記事はこちら

#8 2月4日(木)配信
日立と東芝が「再エネ」で明暗、受注残1.2兆円vs売上高6500億円の皮算用

脱炭素#8Photo:Bloomberg/gettyimages

 日立製作所の事業の総入れ替えの「巧みさ」は、環境視点でみてもズバ抜けている。炭素を排出するビジネスを売却・譲渡する傍らで、欧州ABBを買収したように再エネ×デジタルの商機を獲得しているのだ。一方の東芝はグリーンディールで6500億円を稼ぐ大目標を掲げているが、その計画に勝算はあるのか。日立と東芝の「脱炭素ガチンコ勝負」の行方を追う。

>>記事はこちら

#9 2月5日(金)配信
鉄鋼メーカー「高炉再編」最終形を大胆予想、脱炭素で中国逃避の仰天計画も

脱炭素#9写真:朝日新聞社/時事通信フォト

 鉄鋼業界は最大のピンチを迎えている。需要減や原料高を背景に高炉再編を進めてきた業界だが、今回の脱炭素シフトで、その再編計画の練り直しと、新たなグリーン投資が必要となったためだ。日本製鉄を始めとする鉄鋼メーカーの「高炉再編」の最終形を大胆に予想する。

>>記事はこちら

#10 2月5日(金)配信
「第2のテスラ」が米新興市場で大暴れ!「EV×再エネ」ベンチャー10社の実力値

脱炭素#10Photo:AFP/AFLO

 米国の「SPAC(特別買収目的会社)市場」が異様な盛り上がりを見せている。その中心的存在となっているのが、EV(電気自動車)や再生可能エネルギーを主力事業とするベンチャーだ。「第2のテスラ」候補となる企業はどれか。有望ベンチャー10社の実像に迫る。

>>記事はこちら

#11 2月6日(土)配信
「日本の製造業は国内に工場を持てなくなる」コニカミノルタ社長が鳴らす警鐘

脱炭素#11Photo by Kazutoshi Sumitomo

 米GAFA(グーグル、アップル、フェイスブック、アマゾン・ドット・コム)を筆頭とするグローバル企業は、サプライヤーや取引先企業に対しても「脱炭素」を求めるようになっている。環境負荷の低減がビジネス参加の最低条件となっているのだ。コニカミノルタは日本の産業界で初めて「カーボンゼロ達成」なる高いハードルを掲げた企業だ。山名昌衛・コニカミノルタ社長に、環境を経営課題の「本丸」に据えるに至った経緯を聞くと共に、グローバルで取り残される国内製造業の窮状に警鐘を鳴らしてもらった。

>>記事はこちら

#12 2月7日(日)配信
日本の半導体「最後の砦」、パワー半導体で三菱電機と東芝が巨額投資へ急加速

脱炭素#12Photo:Sean Gallup/gettyimages

 メモリでは国際競争力を失った日の丸半導体。その頼みの綱となっているのが、パワー半導体である。世界的なEV(電気自動車)シフトで、需要が爆発しているのだ。三菱電機、東芝、富士電機がこぞって設備投資を積み増しているが、そこに立ちはだかっているのが米インフィニオンの存在だ。パワー半導体の投資競争では、勝者の女神は誰にほほ笑むのか。

>>記事はこちら

Key Visual by Noriyo Shinoda

*記事のタイトル、内容、公開日は予告なく変更される場合があります。あらかじめご了承ください。