株投資 入門&実践#5Photo:PIXTA

グロース(成長)、バリュー(割安)、ファンダメンタルズ(業績)、テクニカル、長期、短期……。株式投資にはさまざまな投資手法がある。大事なのはそれぞれの強みと弱みを理解することだ。『株投資 入門&実践』(全18回)の#5では、株式投資で1億円以上の資産を築いた投資スタイルの異なる有名個人投資家3人が、おススメする投資法について激論した。(構成 肥後紀子)

「5年で2倍狙い」「損切り不要の割安株」
「新高値更新&業績」、三者三様の投資法

――3人とも株式投資で「資産1億円」を達成されている個人投資家ですが、投資手法はまったく異なります。それぞれの投資手法を教えてください。

すぽ 僕の投資方法は、一言で言うと成長株――、具体的には5年で業績が2倍になる銘柄に投資する手法です。「成長」「ビジネスモデル」「割安」が3本柱で、成長性が高くて、ビジネスモデルに独自性があって、しかも割安という銘柄に投資します。

 まず5年で売上高や利益が2倍になる、年単位でいうと毎年15%ずつ成長する可能性がある会社を探します。その中で、「これは」というビジネスモデルがある会社に注目。特に重視しているのは、長期間収益を維持できるビジネスかどうか。最後にPER(株価収益率)を見ます。なるべく割安が望ましいですが、あくまで成長株なのでそこはある程度許容して、自分の基準だとPER20倍くらい。

 5年たって利益が2倍になっていれば、PERが同じでも株価は2倍になっている計算です。早めに業績を織り込んで株価が2倍を達成したら、そこで半分売ります。半分売ることに理論的な意味はありませんが、「2倍になるまでは我慢しよう」という目標ですね。半分売れば元本は回収済みなので、残りはピリピリせずに持ち続けられて、結果的に大きな利益が狙えます。成長株ですが割安を意識した銘柄選びをしているので、日々の株価にそこまで振り回されないのが、この手法のメリットです。昨年の投資成績はプラス約30%です。今年はイマイチ乗れていません(苦笑)。

DAIBOUCHOU(DAI) 私の投資手法は、地味な割安株に幅広く分散投資する方法です。ただ、PERは低くても、ROE(自己資本利益率)が高い銘柄を選ぶので、成長するポテンシャルはあるというのが重要なポイントです。本当は資産バリュー株も買えば、PERの高い銘柄も買っていますが、今日はすぽさんやDUKE。さんとの差を出すという意味で、バリュー株メインで話そうかなと思います(笑)。

 具体的には、PERが10倍くらいの、地味で市場から評価されていない銘柄を買って保有し続けます。そして、利益が伸びたり、業績を上方修正したりという過程で、注目される時をじっと待ちます。この投資法のメリットは、もともと割安で評価もされていないから、投資家の評価が下がることによる株価下落というリスクが低いこと。仮に、思ったほど成長しなくても、もともと期待が高くないから下げは限定的。損切りもあまり意識する必要がないのがいいところです。去年のパフォーマンスはプラス約16%、今年もここまではプラス約16%です。

DUKE。(DU) 私は、年初来高値を更新した銘柄に投資する「新高値ブレイク投資法」という手法です。ただし、チャートだけを見てテクニカルで投資しているわけではなく、ファンダメンタルズも重視しています。ファンダメンタルズでは、企業の成長と大きな変化(ビッグチェンジ)に注目します。具体的には、営業利益が年平均で30%の成長を期待できる会社。過去3年分の業績を見て、3年で利益が2倍になっているところを常に探しています。また、ビッグチェンジについては、事業内容やニュースなどから何が成長の源泉になるかを調べています。

 投資する際は、資金を五つ程度に分けて、ボックス圏を抜けて新高値を更新したところで、タイミングを分散して買っていきます。お二人の投資法に比べると、リスク管理に重きを置いている点が特徴かもしれません。損切りも含めて、降りるタイミングもしっかり見ています。メリットは資金効率のよさ。テクニカル分析には、「チャートでここのポイントを超えると上がりやすい」という理論があるので、上昇が見込めるタイミングで買って資金効率を最大化させることを狙っています。2020年の投資利益は約1億円です。

――最近の取引で成功したという銘柄を具体的に教えてください。