2022年の相場は「デコボコ道」、株式・債券・為替・商品市場の基本シナリオPhoto:PIXTA

2022年は、インフレと金融政策の行方に不確実性が大きく、北京オリンピック後から秋の中国共産党大会、米中間選挙へと国際政治の波乱要因が少なくない。株式、債券、為替、商品の各市場は経済と政治の双方でいくつものシナリオが想定され、多くのリスクを警戒すべき場面になろう。投資家にとっては、確からしいシナリオに沿って攻守いずれかに徹する時期もあれば、不透明な状況に確率論的に選択メニューを用意して臨む時期もある。22年は後者が基本と考える。(田中泰輔リサーチ代表 楽天証券グローバルマクロ・アドバイザー 田中泰輔)

インフレ、米中の政治イベント
リスク多発の2022年に

 コロナ禍からの正常化は相当のデコボコ道と想定される。2022年もその途上にある。コロナ禍による供給網の寸断、物流の滞り、需要供給の変容、これらが招いた一時的(だったはずの)インフレの高進と長期化。それら次第で超ド級の財政・金融政策の着地も変わってくる。株式、債券、為替、商品の各市場はヤキモキし続けるだろう。

 さらにそこに、ゼロコロナ体制下の経済・政治情勢がきなくさい中国、政権のレームダック化が危惧される米国の確執が重なる。コロナ禍も順当に収束するかどうか。不確実性を拭えない。地球環境問題がもはや想定外でないことは既に思い知らされている通りだ。

 投資家としては、相場の分岐リスクの多発と錯綜(さくそう)を心して臨むべき年といえる。そうであればこそ逆に、基本シナリオの軸足を定めないと、相場分岐リスクを捉える視座も定めにくい。