原油相場は2021年10月下旬に80ドル台半ばの高値を付けた後下落し、現在は70ドル台で推移している。22年は、北半球の冬の需要期の後、需給は緩和するとみられるが、後半にかけて需給はやや引き締まり、再び80ドル台に乗せてくると予想する。その要因を分析する。(三菱UFJリサーチ&コンサルティング調査部主任研究員 芥田知至)
10月に80ドル台の高値
その後60ドル台に下落
原油相場は、やや不安定な動きとなっている。2021年10月25日には、一時、米国産原油のWTI(ウエスト・テキサス・インターミディエイト)が1バレル当たり85.41ドルと14年10月以来の高値、欧州北海産のブレントが86.70ドルと18年10月以来の高値をつけた後、下落傾向で推移し、12月2日にはWTIが62.43ドル、ブレントが65.72ドルと、それぞれ8月下旬以来の安値をつけた。
10月下旬までは、複合的な要因で原油高が続いていた。コロナ禍からの経済回復によって石油需要が持ち直す一方で、サウジアラビアを中心とするOPEC(石油輸出国機構)にロシアなど非OPEC産油国を加えた「OPECプラス」が、原油供給を大幅には増やさない方針を続けていたため、原油需給の逼迫(ひっぱく)が懸念されていた。
また、欧州では石油と代替性がある天然ガスの価格が高騰して、原油需要をさらに押し上げるとの観測が強まった。中国では石炭不足・電力不足が問題となっていた。世界的なエネルギー価格の高騰やインフレへの懸念が広がっており、投機的に原油を買う動きにもつながっていたと思われる。