
山崎 元
第76回
政府・与党が、過去最大の追加経済対策を決定した。これだけの規模の対策が短期間でまとまったことは評価できる。だが、その中身は、はっきり言って、国民にお金の使途を強制するお節介の色彩が濃い。

第76回
破綻の危機を米政府の公的資金投入でかろうじて救われているAIGとバンク・オブ・アメリカに買収されたメリルリンチ。この2社の幹部社員向けボーナス支給が大きな問題になっている。いずれも、社会的に批判の対象だ。会社が大損をしているのに多額のボーナスを支払うのはおかしいと思うのが、米国でも日本でも「世間の常識」だが、「ウォール街の(金融業界の)常識」は異なる。この常識のズレが、今回の金融危機を生んだ大きな原因の1つでもある。

第75回
「かんぽの宿」問題は、業務改善命令で一区切りを迎えた。筆者の推測だが、鳩山大臣という獅子面を掲げた総務省の筋書き通り、西川・日本郵政社長は名誉の撤退、同省が人事で実を取るという展開に向かってはいないか。

第74回
年度の変わり目でもあり、今回は2009年度の株式市場について考えてみたい。筆者は、米政府の今後の舵取りに不安があるとしても、日本株については、そろそろリバウンドがあってもおかしくないと見ている。

第75回
「日本経済新聞」(3月9日付朝刊)に載ったアンケート調査によると、金融サービスの普及形態として、さまざまな商品を購入できる「金融スーパー」を望む人が49%あったという。金融スーパーを支持する主な理由は「商品・サービスが比べやすいから(63%)」ということだった。第2、第3の理由はそれぞれ「時間を節約したいから(40%強)」「有利な商品が見つかると思うから(20%強)」だという。金融スーパーの選択理由として、筆者が納得できるのは2番目だけだ。

第73回
西松建設の巨額献金事件に絡む公設秘書の逮捕を受けた民主党の小沢一郎代表の進退について、複数のメディアは先週末、民主党内では政治資金規正法違反以外の新事実が無ければ続投するとの見方が広がっていると伝えた。秘書の拘留期限が切れる3月24日に小沢氏がどのような判断を下すかが注目されたが、小沢氏は民主党代表職について自分自身の「続投」を発表した。筆者は、続投は不適切であり、小沢氏は早急に民主党代表を辞任すべきだと考えている。

第74回
ヘッジファンドはなんらかのチャンスを見つけて年金運用を投資収益に変えるのだから、今、何を狙いとして運用するのかを説明することが効果的なのだろう。

第72回
予め断わっておけば、筆者は楽天グループの証券会社に勤務している。しかし、その立場に関係なく、薬のネット販売規制には反対だ。患者のためにも、国の財政のためにも、選択肢は多いほうが良い。

第73回
筆者は米政府はシティグループを早期に国有化すべきだと思う。投資家にとっての問題は、国有化ないし、それに近いことが起こった場合に、これをどう解釈するかだ。

第71回
日経平均株価がバブル後最安値を更新する中、またぞろ株価対策を巡る議論が活発化してきた。だが、政府・与党の対策はどれも需給に働きかけるものばかり。はっきり言って、過去の失敗から学んでいない。

第72回
輸出株・ハイテク株の今後について考えると、製品のコモディティ化と競争構造の問題は、相変わらず残っている。今後、業界の再編による寡占化が進むとしても、発展途上国企業が強敵として競争に加わってきた。

第70回
2月27日の各紙で報道された、内部告発の問題。 一番詳しく報じていた読売新聞(27日朝刊)の記事に基づいて内容をざっと伝えると、東証1部上場の精密機器メーカー「オリンパス」の男性社員が、社内のコンプライアンス通報窓口に上司に関する告発をした結果、配置転換などの制裁を受けたとして、近く東京弁護士会に人権救済を申し立てるという。

第71回
『ウォール街のランダム・ウォーカー』は、俗説から理論まで含めた投資の考え方をていねいに追った好著で、ついでに、米国の株式市場の歴史もわかる。投資に関する考えを深める素材としてベストの1冊だ。

第69回
米政府がシティグループの普通株を最大で40%保有する可能性が報じられるなど、米銀の行方に注目が集まっている。率直に言って、筆者は、事ここに至れば、不良銀行の国有化は適切な対策だと思う。

第70回
経営者にはいろいろな経歴の人がいる。しかし、成功した経営者で、前歴にファンドマネジャー経験がある人がもっといていいと思うのだが、案外思い当たらない。

第68回
麻生内閣が末期的な症状を呈しているにもかかわらず、次期政権の主導権を握ろうかという民主党からなぜかインパクトのある景気対策が出てこない。はっきり言って、これは由々しき事態だ。

第69回
毎週月曜日の「日本経済新聞」の「景気指標」欄と一緒に載っているコラムが時々おもしろいのだが、1月26日の「消えたミセス・ワタナベ」が特におもしろかった。「ミセス・ワタナベ」とは主婦層をイメージした日本のFX(外国為替証拠金取引)に参加する個人を指す言葉だが、コラムは、昨年11月に急減しているようだと指摘し、さらに12月に全国のパチンコ台の数が増えていることを紹介して、「ワタナベさんは、パチンコ店に移動した」のではないかと推測している。そして、「ミセス・ワタナベがFX市場に帰って来ないと、円高は止まらない」という大手邦銀の為替担当者の言葉を紹介し、彼ら(彼女ら?)の動きが輸出企業の浮沈の鍵を握るかもしれないと結ばれている。

第67回
業績悪化に喘ぐ電機メーカーから、なんとも情けないニュースが聞えてきた。副業の容認である。そもそも副業は一般論して認められるべきものであり、いまさら許認可権を振りかざすのはどういうことなのか。

第68回
定額給付金の評判がよろしくない。私見では、景気刺激策として金額が小さ過ぎるし、年齢による金額の差に納得性が乏しい。給付に際し相当の費用がかかると見込まれ非効率的だ。しかし、政策自体が本当に悪いのか。

第66回
自動車業界に続き、大手電機メーカーの業績も加速度的に悪化し始めた。それぞれの製品で決定的なシェアを持てない“似た者同士”の競合という問題は実は、メガバンク統合前の銀行業界に似ている。
