
山崎 元
第67回
「インデックス投資ナイト」というイベントに、パネルディスカッションとして参加した。個別株投資家が行儀が悪いと言いたいわけではないのだが、インデックス投資家たちは、「特別に」行儀のよい集団だった。

第65回
一部報道によれば、政府は銀行以外の一般企業にも公的資金を注入する方向で検討を進めているらしい。だが、あるべき制度設計の方向性を考えると、これは逆方向ではないか。

第66回
企業年金の運用利回りが悪化しているという。長期的な資金運用では、当初の投資配分計画から大きくずれた場合、「リバランス」を行なうほうがいいといわれることが多いが、どの程度の必要性があるのだろうか。

第64回
バンカメへの政府追加支援、シティの分割案、札幌北洋の公的資金申請に共通する問題点は、銀行の何を保護するのかという論点整理が十分になされていないことだ。特に米国は筋を通したとは言い難い。

第65回
景気が悪化した状況から株価が上昇するときには、利益に対して割高に見える局面から上昇し、後から利益の改善がついてくることが多い。こうした底値からの回復を狙うならどのようなアプローチがよいだろうか。

第63回
厚労省が、確定拠出年金(日本版401k)の改革に乗り出すようだ。株価対策で改善がようやく図られるのはなんとも品のない展開だが、使い勝手が良くなることは歓迎すべきだ。

第64回
金融危機の実物経済への影響が明確になり、企業も雇用調整に動き出した。従業員にとっては避けたい事態だが、株主にとっては基本的に「よいニュース」だ。ただし、今回のリストラには投資家から見ても心配な点がある。

第62回
失礼を顧みず、主要新聞6紙の元旦の社説を評定するなら、日経新聞と東京新聞が優れていた。両紙を読めば、自分が大きな政府と小さな政府のどちらを志向しているかが分かるだろう。

第63回
急速な景気悪化で、個人の経済生活にあっては、どうすればいいのか。まず、個人の努力には限界があるが、雇用と収入の確保を通常のとき以上に心がけるべきだ。次におカネの置き場を確認する必要がある。

第61回
先週木曜日の12月18日、久しぶりに前向きなニュースを目にした。破談の可能性も囁かれていた、三洋電機買収を巡るパナソニック(旧松下電器産業)と三洋大株主の金融3社(三井住友銀行、大和証券SMBC、ゴールドマンサックス)の交渉が決着したのだ。このニュースは日経新聞だけが朝刊で報じており、他紙は夕刊に後追いの記事を小さく載せていただけにとどまった。記事の出方としても、パナソニックの思い通りに物事が動いているとの印象を受けた。

第62回
テレビ番組で、株価や株式投資についてコメントする人が登場するが、立場によってコメント内容が変わる。未曾有の金融危機に翻弄される株式市場の投資家は振り回されがちだが、立場の差として最も大きいのは、「コメンテーターが証券会社や運用会社に所属しているかいないか」である。具体的には、彼らは日経平均が「上がるはずだ」という「断定的な判断」を言えなかったり、個別銘柄に関するコメントができたりできなかったり、あるいは本当は株価に対して弱気(下がると予想すること)であっても弱気なことが言えなかったりすることがある。 近年特につまらないのは、バイサイド(運用会社)に所属する人のコメントだ。顧客の資金を運用する商売なので、弱気を言いにくいし、顧客に責任を問われる言質になる可能性のある本音が言えない。

第60回
今年も残すところわずかとなった。そこで今回は2008年の運用を振り返るとともに、来年の展望を考察したい。株価については、2009年中に底を探す展開となりそうだ。

第61回
駒澤大学と立正大学が共に約150億円前後の運用損失を出した(立正大はまだ含み損段階)という報道があった。ダイヤモンド・オンラインの筆者の連載でも取り上げたが、金融機関から見て学校法人は狙い目の上客であり、両校のほかにも運用に問題を抱えている学校がかなりの数あるだろう。拙稿では、各校は運用の実態把握を急ぎ、次に資金運用に関する規約を作るべきだと書いた。以下、たとえば学校法人が、運用の規約を作る場合に、どのあたりがポイントになるかを書いてみたい。とにかく重要なのは、金融機関との契約の際に「運用規約」をいかに吟味するかだ。

第59回
社会的責任投資(SRI)は、ポートフォリオ運用としては、邪道だ。それは、景気後退局面に入り、たばこやアルコールといった“悪習銘柄”の株価が相対的に健闘している事実からも明白だ。

第60回
日本の株価の底値が「いくらなのか」あるいは「いつなのか」について、なんとか見当をつける方法はないものだろうか。「いくら」かについては、たとえば筆者は、益利回り(PERの逆数)と名目GDPの成長率を足し合わせた数字を株式の期待収益率だと考えて、これが長期金利に対しどれだけプラスかで、大ざっぱに株価を判断することにしている。 「いつ」のほうはもっとわからないが、問題の根源である米国の不動産価格は、現在の10%台後半の下落ペースだとフェアバリューまでもう1年くらいかかりそうだ。さて、このような目安と現状を照らし併せると、果たして底値は?

第58回
ネット上にポルノ画像が氾濫する時代となり、性商品を巡る規制強化の動きが強まっている。だが、所持や閲覧は悪意に陥れられる可能性もあり、そこまで規制の対象を広げるのは危険だ。

第59回
公的年金の予想運用利回り3.2%は非現実的だ。積立金の運用でこれを達成するためには、よりリスクを取らなければならなくなる。常識的には、現在の資本市場で十分達成可能な利回りを想定すべきものだろう。

第57回
駒澤大、立正大の財テク失敗は、ほんの氷山の一角にすぎない。巨額の現金を持つ学校法人はそもそも金融機関のカモ。金融危機の深刻化で同様のニュースが続出しそうだ。

第58回
インカムとキャピタルを通算して損得を判断することは、筆者が思う以上に、難しいことらしい。投資家は常識として理解していなければならないが、現実には金融機関の商売に配慮してか、不徹底な場合が多い。

第56回
G20による金融サミットが、金融安定化へ「必要なあらゆる追加的措置を取る」ことを盛り込んだ首脳宣言を採択し閉幕した。20ヵ国で経済問題を協議するという枠組みができたことはそれなりの、変化だ。アメリカ、あるいは欧州の2、3ヵ国が合意するだけで、世界経済に関する問題のすべてが決まる時代ではなくなった。その意味では、アメリカの相対的国力の衰えが印象に残ったG20だった。
