上田惇生
第239回
利益は目的や動機ではない事業を継続・発展させる明日のためのコストである
営利事業という言葉がある。そのため、事業の目的は利益にあると思う。加えて、利潤動機という言葉がある。そのため、事業の動機は利益にあると思う。

第238回
市場はあくまで非情であるトップマネジメントは社外で働くことを学べ
市場にとっては、いかなる製品、いかなる企業といえども、さして重要な存在ではない。最も価値があり、最も望まれている製品でさえ、多様な製品、サービス、満足の一つにすぎない。

第237回
イノベーションに優れた企業は競争相手によってではなく自らの手で自らを陳腐化させる
ドラッカーは、イノベーションを職能の一つと見ることは間違いだという。イノベーションは、企業のあらゆる部門、職能、活動に及ぶものである。

第236回
知識労働者に対して自己実現の機会を与えてこそ組織は忠誠を獲得できる
組織が人の力なしに目的とする成果を上げられるのであれば、人に対して力を行使することが許されるはずはない。

第235回
意思決定には勇気が必要だが、確信がないままで実行を急いではならない
薬は苦くなければならないという必然性はない。しかし、一般的に良薬は苦いものである。

第234回
イノベーションの第一歩は陳腐化したものを計画的に捨てることである
イノベーションは、新しく優れた製品の創造、あるいは新しい利便性や新しい欲求の創造であることもある。昔からある製品の新しい用途開発であることもある。

第233回
忠誠はどこまで要求できるか組織が直面する最大の課題は“善意の専制”の制御である
ドラッカーは、「今日のように、組織が経営幹部に対して父権的な権限を行使し、特別の忠誠を要求することは、社会的に無責任な権力の濫用だ」という。

第232回
為替レートは日常のコスト為替のマネジメントの仕方がリーダーシップにつながる
これからの経営戦略は、通貨とは野放図に動くものであり、不安定きわまりないものであるという前提に立たなければならない。

第231回
これからの20年、30年 仕事を心躍るものにするには 目線を上げて自らを駆り立てよ
ドラッカーは、「日常化した毎日が心地よくなったときこそ、違ったことを行なうよう、自らを駆り立てよ」という。たいていの人が、余裕で仕事をこなせるようになったことをよしとし、自己満足に陥る。その結果、ある日突然、燃え尽きる。

第230回
人は得意な仕事の仕方で成果を上げていく得意な仕方を向上させよ
ドラッカーは、生まれつきか育ちかは別として、「仕事上の個性は、仕事に就く前に形成されている」という。人は、強みを発揮する仕事で成果を上げるように、得意な仕事の仕方で成果を上げる。

第229回
公的機関は悩み多き存在“三つの障害”が起業家精神とイノベーションを退行させる
ドラッカーは、公的機関には既存の事業がイノベーションの障害となりやすい原因が3つ存在するという。

第228回
21世紀の諸問題は近代合理主義では解決できず全体を見て本質を把握せよ
モダンとは、近代合理主義のことである。まさに、世のすべての事象は論理の力によって解明できるとしたところから、近代は始まった。その近代が、まず西洋を支配し、やがて世界を支配した。

第227回
意思決定の出発点は仮説まず意見を持つことを奨励し次に現実の検証を求めよ
ドラッカーは、事実を探すことから始めるのは感心したことではないとさえいう。なぜなら、誰もがするように、すでに決めている結論を裏づける事実を探すだけになるからである。

第226回
最先端のNPOにおける“働き方”の変化は企業にとって教訓になる
ドラッカーは、今日のボランティアは、善意のアマチュアというよりも、無給のスタッフと見るべきだという。しかもこの変化が、NPOだけでなく、企業にとって大きな意味を持つという。

第225回
組織にとって最適な規模とは機能や仕事に必要な情報を最も有効に扱える規模である
組織には「それ以下では存続できない最小規模の限界」が、産業別・市場別にあるという。逆に、それを超えると、「いかにマネジメントしようとも繁栄を続けられなくなる最大規模の限界」もあるという。

第224回
成果を上げている者は努力して能力を身につける その習慣が成果を上げる
知識があって、理解力があり、懸命に働くだけでは十分でない。成果をあげるにはこれらとは違う何かが必要である。

第223回
求められる「情報力」とは情報を入手する力ではなく解釈して利用する力である
データそのものは情報ではない。情報の原石にすぎない。原石にすぎないデータが情報となるには、目的のために体系化され、具体的な仕事に向けられ、意思決定に使われなければならない

第222回
日本の近代社会の成立と経済活動の発展の根底には“知覚”の能力がある
日本の歴史と社会についての第一人者、エドウィン・O・ライシャワー元駐日大使が、その著『ザ・ジャパニーズ』において、日本は第一級の思想家を生み出していないと言ったとき、ドラッカーは、日本の特質は“分析”ではなく、“知覚”にあると言ってくれた。

第221回
誰もが力を発揮するべくいつでも方向転換できる社会の構築が求められる
自らの成長のためには、自らに適した組織において自らに適した仕事につかなければならない。そこで問題になるのは、自らの得るべきところはどこかである。この問いに答を出すには、自らがベストを尽くせるのはいかなる環境かを知らなければならない

第220回
歴史には文明を分かつ“峠”が存在するその峠が転換期である
1960年代後半に至って、ドラッカーは、あたかも群発地震のようにあらゆるものが動き始めたことには原因があると見た。どこか地中の奥深くで、プレートの大移動が起こっているに違いないと察知し、これを一つの“断絶”としてとらえた。
