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八代尚宏
自民党総裁選への立候補者の間での政策議論が乏しい。新首相ともなる新総裁は、今後の日本の針路を示すべきである。安倍長期政権が手を付けなかった供給面の構造改革や、医療・年金などの社会保障改革、財政健全化など痛みを伴う施策から目を背けてはいけない。

菅内閣は少子化対策の切り札として「子ども庁」構想を打ち出した。そこで重要なのは保育の福祉からサービスへの転換である。一足先にその転換を果たした介護同様に、家庭の置かれている状況に関係なく利用でき、低所得者を除き適正な水準まで利用料金を引き上げ、保育士の待遇改善をすべきだ。加えて企業の参入促進も不可欠である。

丸川珠代・男女共同参画担当相が、選択的夫婦別姓の実現を求める意見書採択を阻止するよう文書で地方議員に呼びかけたことが、「ジェンダー平等に反する」と反発を招いた。そもそも夫婦別姓にはどのようなハードルや意義があるのか、改めて考えてみよう。

菅政権は、日本では株式会社が農地を購入することが認められていないという、時代遅れの規制の改革も進めるべきだ。兵庫県養父市では、国家戦略特区制度を活用して、全国で唯一普通の株式会社による農地取得が認められている。その取り組みを通じて、農地取得に関する改革の必要性と効果を考える。

雇用調整助成金は短期の不況時に雇用を維持するためには有効な仕組みであるが、感染防止のための自粛と消費拡大策の繰り返しで、長期化する休業者維持に、非常時の特例措置を漫然と延長することは妥当ではない。特例措置によって休業手当の金額が、本来のセ-フティーネットである失業手当を上回る逆転現象も起きている。人手不足の分野への雇用の流動性を高める措置も同時に検討するべきである。

安倍政権が掲げてきた2020年度末の待機児童ゼロ目標は、またも先送りとなる公算が大きい。その敗因が明確でなければ、政権が変わっても同じ失敗を繰り返すだけだ。検証すると「待機児童ゼロ作戦」には、前提として大きく3つの誤りが見える。児童福祉を抜本的に建て直すための発想とは何か。

政府の第二次補正予算案の大きな柱の1つは、コロナ休業者への直接給付の新設だ。企業に対して休業手当を給付する雇用調整助成金は使い勝手の悪さが指摘されるため、それを補足するためだ。しかし、それよりも失業手当を活用するほうが早いのではないか。

政府は新型コロナ対策として、全国民への10万円の給付を決定した。部分的にではあるが、ベーシックインカム(基礎的所得給付)政策が日本で初めて導入されたことになる。しかしそう考えた場合、今回の政策には致命的な欠落がある。

70歳までの高齢者の就業機会確保に努めることを企業に義務付ける、高年齢者雇用安定法の改正が3月末にひっそりと成立した。報道がコロナ対策一色となるなかで、ほとんど議論もなしに、2021年度からの労働市場の規制強化が、またひとつ追加された。

人生100年時代に備えた全世代型社会保障検討会議の中間報告が公表された。医療費の75歳以上「2割負担」や、年金の受給を75歳まで繰り下げ可能にしたり、企業に70歳まで再雇用義務付けるなどの内容は、いずれも高齢者優遇から抜け出せていない。

政府は、男性の国家公務員について、原則1ヵ月以上の育児休業取得を促すための具体策をまとめ、2020年度からの実施を目指すとした。国家公務員なら、育休取得率を引き上げられるのか。また公務員で目標が達成できれば、民間企業でも実現可能なのか。

小泉進次郎環境大臣の「育休宣言」が大きな話題を呼んでいる。日本の男性の育休取得率は2018年でも6%にすぎず、女性の82%とは大きな格差が生じている。この解決のために義務化も検討されているが、それ以前に取り組むべきことがある。

厚生労働省は8月27日に5年に1度の公的年金の財政検証を公表した。今回、注目すべき点は、現状の年金給付水準を維持するためには、例えば、現在20歳の人は68歳9ヵ月まで働かなければならないという明確な選択肢を示したことである。

厚労省が、派遣社員に対して勤務年数に応じた賃金を支払うよう派遣会社に義務づけることが報じられた。これは正社員との賃金差を縮小させる措置とされているが、欧米の「同一労働同一賃金」とは正反対で、本来の労働市場改革に逆行している。

金融庁が6月初めに公表した「高齢社会における資産形成・管理」の報告書が、国会で大きな焦点となっている。今回の大々的な批判をきっかけに、公的年金制度の持続性を野党が参院選の争点とすれば、国民的な議論を巻き起こす点でむしろ望ましい。

日本の副業とテレワーク普及を妨げる「犯人」の正体
人手不足が深刻な問題となる中、既存の労働者の有効な活用を図るためのカギが、「副業」と「テレワーク」のような柔軟な働き方である。政府は推進を測るための目標を掲げているものの、いずれも十分な成果を上げていないのが現状だ。

経団連は22日、新卒学生の通年採用を拡大することで大学側と合意した。多様な採用方式が普遍的になれば、外国人留学生や留学中の日本人学生などへのメリットは大きい。しかし、それだけで年功序列の日本型雇用慣行が大きく変わるとは言えない。

今夏、5年に1回の公的年金の財政検証が行われる。急速な少子高齢化の進行の下で、年金財政の持続性を確保するための仕組みだ。しかし、今の年金財政の枠組みは机上の空論に近い。国が唱える「100年安心年金」を実現するために、真に必要な視点とは何か。

政府は外国人労働者の受け入れ拡大のための出入国管理法の改正案を国会に提出した。今回の新在留資格について、「単純労働を容認した」という報道が相次いでいるが、この表現は必ずしも妥当ではない。

政府は10月22日の未来投資会議で、「70歳までの就業機会確保」のための雇用改革案を打ち出した。働く高齢者の増加は人手不足や年金制度の安定化に不可欠だが、その手段として規制改革ではなく、規制強化を用いている点に大きな問題がある。
