
野地 慎
長短金利は、金融政策や債券需給の影響を受ける実質金利の部分とインフレ期待の2層に分けることができる。

トリプルブルー(民主党によるホワイトハウス&上下院支配)の政治が始まるとの期待をよりどころに、年明け早々に1%を上回った米国10年債利回りだったが、その後も上がり続け、一時1.2%付近まで上昇している。

米国の10年債利回りや30年債利回りは6月の最高水準を明確に上回ってきた。

新型コロナウイルスの感染拡大で世界経済が大きく減速した今年もあとわずかとなってきた。金融市場を振り返ると、各国が金融緩和政策を講じる中、実質金利への関心が高まったといえる。

バカンス明けの欧州で新型コロナウイルスの感染が再び広がってきた。

FRB(米連邦準備制度理事会)は8月27日のジャクソンホール会議におけるパウエル議長の講演に合わせ、「長期目標と金融政策戦略」と題した声明文を公表した。

FRB(米連邦準備制度理事会)による強力なQE(量的緩和)政策を背景に0.5%割れ目前まで迫った米国10年債利回りだったが、8月に入りリバウンドし始め、0.7%台を回復するような動きを見せている。

各国の株式市場が漠然とした景気回復期待と金融緩和に伴う過剰流動性などをよりどころに堅調な推移となる中、米国では新型コロナウイルスの感染拡大が止まっていない。

6月9日、10日に開催されたFOMC(米連邦公開市場委員会)においては、3月以降に示された緩和策と実質ゼロ金利政策の維持が決定された。市場参加者が注目していたのは3月のFOMCで公表が見送られた経済見通しであった。

FRB(米連邦準備制度理事会)は、新型肺炎感染拡大懸念で市場が大幅に混乱した3月から政策金利を実質ゼロに引き下げたが、そこから2カ月が経過しても米国では感染拡大の終了が見えてこない状況だ。

欧米における新型肺炎感染拡大をよりどころに混乱したグローバル市場であったが、4月に入って少しずつ落ち着きを取り戻している。

イタリアのコロナ禍後に残る財政悪化と長期金利上昇懸念
新型コロナウイルスの中国における感染拡大が止まりつつある中、欧米諸国では急速な感染拡大が観測され始め、特に欧州においては問題が深刻化している。中でもイタリアにおける感染者数、死者数の増加が目立っている。イタリアの株価指数が年初から30%超の下げを記録し、10年国債利回りはドイツなどその他のユーロ圏諸国の国債利回りが低下する中で大きく上昇している。まさにイタリア売りの様相だ。

FRB資金供給が米株高支える、低下した長期金利反転の公算小
新型コロナウイルスの感染拡大とそれに伴う景気減速が懸念される中、中国から遠く離れた米国では株価指数が史上最高値を更新するような動きが見られる。

原油高によるインフレ期待が欧州の長期金利を押し上げた
米中関係悪化や英国の合意なきEU(欧州連合)離脱への懸念などから、世界的に長期金利が低下した2019年夏だったが、8月末で各国長期金利はボトムアウトした格好だ。

米利下げは株価割高感解消狙い、株価大幅下落なら追加利下げも
FRB(米連邦準備制度理事会)が利上げから一気に利下げに転じた2019年も終わりに差し掛かっているが、11月の米雇用統計では雇用と賃金の強い伸びが確認されており、米国経済の底堅さが確認された。

上昇幅大きいユーロ圏長期金利、圏内景気悪化で反落の公算も大
FRB(米連邦準備制度理事会)は10月に今年3度目の利下げを行ったが、パウエル・FRB議長が記者会見で利下げ打ち止めを示唆した。

レポ金利急騰を抑制したFRB、米債投資ヘッジコストも低下へ
FRB(米連邦準備制度理事会)が9月に2度目の利下げを行う中、米国の短期金融市場ではレポ取引(国債等を担保とする短期資金の取引)の金利が急騰した。FRBがバランスシートを縮小してきた中、(銀行が連邦銀行に預ける)準備預金が不足がちになり、連邦政府による税金収納と国債発行に伴う資金決済が重なり、ドル不足が生じたことが金利上昇を招いたとされる。

世界の長期金利上昇の契機は、日本の超長期国債利回り急上昇
世界的な長期金利低下が進んできたが、9月に入り長期金利は上昇に転じている。米中貿易摩擦の緩和への期待と、それに伴う株高も影響した格好だが、わが国の超長期国債利回りの急上昇が引き金となったようだ。

長短金利逆転は必ずしも将来の景気減速を示唆しない
中貿易摩擦が世界経済を減速させるとの懸念が強まる中、米国債市場では30年債利回りが史上初めて2%の大台を割り込み、同時に2年債利回りを10年債利回りが下回る「逆イールド」まで生じ、株価の大幅調整の引き金となった。30年債利回りも短期金利を下回り、こちらでも逆イールドが発生した。

ユーロ圏の長期低迷を示唆か 国債上回るスワップ金利低下
FRB(米連邦準備制度理事会)による利下げがほぼ確実視される中、世界的な長期金利の低下傾向が続いている。ユーロ圏ではドイツ10年債利回りが史上初めてマイナス0.4%を下回った。
