今年もあと残りわずか。「来年はどんな年にしよう?」と新しく迎える年について考えている人も多いのではないでしょうか。「何か新しいことを始めたい」という人にオススメしたいのが「美術史」。今、ビジネスマンを中心に教養として「美術史」が注目を集めています。社会がグローバル化する中、世界のエリートたちが当然のように身につけている教養に日本でも目が向き始めたようです。そこで今回は、新刊『世界のビジネスエリートが身につける教養「西洋美術史」』が話題沸騰の著者・木村泰司氏に、本書の内容を抜粋する形で美術史の面白さをお伝えしてもらいます。

2017年も数々の素晴らしい美術品が来日を果たしました。もちろん、2018年も注目の展覧会が目白押し!いまから「美術史」を学んでおけば、展覧会がもっと楽しみになる!(写真は、今年の「バベルの塔展」で話題となったブリューゲルの作品「バベルの塔」のウィーン美術史美術館版)

美術とは「見る」ものではなく「読む」もの

木村泰司(きむら・たいじ)
西洋美術史家。1966年生まれ。米国カリフォルニア大学バークレー校で美術史学士号を修めた後、ロンドンサザビーズの美術教養講座にてWORKS OF ART修了。ロンドンでは、歴史的なアート、インテリア、食器等本物に触れながら学ぶ。東京・名古屋・大阪と、企業や自治体向けに年間100回ほどの講演・セミナーを行っている。『名画の言い分』『巨匠たちの迷宮』『印象派という革命』(以上集英社)、『名画は嘘をつく』シリーズ(大和書房)、『美女たちの西洋美術史 肖像画は語る』(光文社)、『おしゃべりな名画』(ベストセラーズ)、『西洋美術史を変えた名画150』(辰巳出版)など、著書多数。新刊『世界のビジネスエリートが身につける教養「西洋美術史」』が話題に。

 私は、いつも講演で「美術は見るものではなく読むもの」と伝えています。美術史を振り返っても、西洋美術は伝統的に知性と理性に訴えることを是としてきました。古代から信仰の対象でもあった西洋美術は、見るだけでなく「読む」という、ある一定のメッセージを伝えるための手段として発展してきたのです。つまり、それぞれの時代の政治、宗教、哲学、風習、価値観などが造形的に形になったものが美術品であり建築なのです。

 しかし日本では、美術史というジャンルの学問が世間で認知および浸透していないのが現状です。それにもかかわらず、日本は非常に展覧会に恵まれています。とくに東京では年中展覧会が開かれており、海外の美術館が所蔵する一級の作品も来日を果たします。

 しかし、それをただ鑑賞するだけで終わることが多く、それはまるでわからない外国語の映画を字幕なしに観ているのと同じだと言えるでしょう。教養として「西洋美術史」を身につけることで、絵画や美術品を「読む」ことができ、その見方はガラリと変わってくるのです。

 拙著『世界のビジネスエリートが身につける教養「西洋美術史」』では、この西洋美術史について、必要最低限の知識を1冊に凝縮しました。今回は、本書の内容を一部抜粋して紹介していきます。