「小さなこと」で「大きな効果」を生み出す

 この話をしたところ、すべてのメンバーが次々と「自分もその経験がある」と語り始めました。そこで、パートナーに直談判。仕事の効率化を図るために、コミュニケーションのハードルを下げるよう提案したのです。そして、仕事上の相談はメッセンジャーで行ってもいいことになりました。

 これで、現場のメンバーが判断に迷ったときには、すぐにメッセンジャーでパートナーに相談することができるようになりました。パートナーが忙しくてすぐに返事ができないことはありますが、数時間後にはやりとりができますから、数週間を棒に振るようなケースは起こりません。結果として、仕事が大幅に効率化したのです。

 この経験から、「小さなこと」で「大きな効果」を生み出せることを実感したメンバーたちは、「自分たちが忙しかったのは、日本のせいじゃなかったですね」と照れくさそうに笑い合っていました。そして、次々と「小さな工夫」を積み重ねることによって、チームの生産性を高めていくことに成功したのです。

 しかも、日常業務における会話の内容も変わっていきました。「◯◯のせいで、こちらではどうしようもない」という他責思考の発言が激減し、「じゃあ、自分たちで何ができるかな?」「自分たちでやれることからやろうか?」という自責思考の言葉が飛び交うようになったのです。

「解決策」をマトリクスで整理する

 このように、「小さなこと」から着手するのが、「働き方改革」を加速させる重要なポイントです。

 このことをメンバーに理解してもらうことができたら、メンバーから出された解決策を、メンバー全員で下図の「『難易度』と『効果』のマトリクス」に分類してみるといいでしょう。そうすれば、どの解決策が「(3)難易度が低く効果が高い」のかが一目瞭然となります。そのなかから、最初に着手する解決策をピックアップすればいいわけです。

『難易度』と『効果』のマトリクス

 最初のうちは、どのアクションが「(3)難易度が低く効果が高い」のか、メンバーが判断できないことがあるかもしれませんが、その場合には、現場をよく知っているプレイングマネジャーが、「たとえば、この解決策はすぐにできそうじゃないかな?」と提案するのもいいでしょう。