医者を技術で選ぶなら「手術症例数」
あらゆる症例に対応できる目安は?

――ロボット支援手術は将来的に執刀医間の技術格差を解消していけるものだが、普及の過渡期である今は技術格差が生じているといわれます。

 教育システムがしっかりしている病院であれば、格差を縮めて、底上げができる。ロボット支援手術あるいは腹腔鏡手術の場合、ビデオを撮っておけば、うまい人の全てが見られる。それを徹底的に覚え込み、鉗子の操作はこつがあるので徹底的な訓練をする。そうすれば、ある程度の手術はできるんですよ。

 そこからうまくなるかどうかっていうのは、他の手術の格差と一緒で、うまくなる人もいれば、そのままの人もいる。今までよりも底辺のレベルは高いわけですね。

ダヴィンチ展示ブースの手術支援ロボット「ダヴィンチ」 Photo by M.U.

――患者が技術で医者を選ぶとき、今分かるものって手術症例数くらいでしょうか。

 症例数だけでしょうね。

――合併症の発生頻度とかさまざまなデータを医療機関が同じ基準で出してくれるなら参考になりますが……。

 出さないですよね。

――ならば、手術数が判断材料ですね。熟練レベルの目安となる手術数は、前立腺がんではどれぐらいだと思いますか。

 一人でこなせるようになるのが50例。あらゆる症例に対応でき、怖がらず、臨機応変にスピーディーな手術ができるのは200~300例。どんな症例に対してもできるっていうのは、やっぱりそれ相応の経験が要ります。