米紙「ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)」の注目記事の要点を短時間でまとめ読みできてしまう『WSJ3分解説』。今回は2月24〜25日にかけて起きた「世界同時株安」をピックアップ。その原因となった新型肺炎を巡って、WSJが韓国発の世界経済減速リスクを指摘しています。その理由を解説します。(ダイヤモンド編集部副編集長 鈴木崇久)
新型肺炎の感染拡大を受け
「世界同時株安」
「新型肺炎の感染拡大もどこ吹く風」――。そんな状況だった株式市場に突如として冷や水を浴びせる出来事が起こりました。2月24〜25日にかけて、「世界同時株安」の展開となったのです。米紙「ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)」は米株式相場の大幅下落を次の記事で報じています。
●「ウォール・ストリート・ジャーナル」より
>>NYダウ1000ドル超安、感染拡大で世界的な景気減速懸念
「24日の米株式相場は大幅続落。ダウ工業株30種平均の下げ幅は1000ドルを超えた」「ダウ平均の終値は前週末比1031.61ドル(3.56%)安の2万7960.80ドル。S&P500種指数は111.86ポイント(3.35%)安の3225.89、ナスダック総合指数は355.31ポイント(3.71%)安の9221.28で取引を終えた」
今回の米国の株安によって、「ダウ平均は年初からの上昇が帳消しになった。1日の下げ幅としては、2018年2月以来の大きさとなった。S&P500種の業種別指数は、全11業種が下落した」(WSJ)という状況です。
一方、連休明けとなった25日には東京株式市場も大荒れ。一時は日経平均株価の下落幅が1000円を超え、終値は前週末比781円安の2万2605円となりました。
原因は、前出のWSJの記事にあるように、新型肺炎の感染拡大が世界経済に与える悪影響について懸念が強まったためとみられています。今までは新型肺炎に見向きもしていないような動きをしてきた世界の株式相場ですが、特に「イタリア、イラン、韓国など中国以外でもウイルス感染が拡大し、投資家の間で懸念が強まった」(同)ことが世界同時株安の引き金となったと考えられています。
相場変動の要因は次第に
市場心理から実体経済への影響へ
このように、今は市場心理が相場を大きく動かしていますが、実体経済への影響も徐々に明らかになってくれば、それが市場の変動要因に取って代わるはず。その点において最大の関心事の1つとなっているのが、製造業のサプライチェーン(供給網)問題です。「世界の工場」と呼ばれる世界2位の経済大国である中国が新型肺炎で機能不全に陥ってしまうと、多くの国の多くの企業に悪影響を与え得るからです。
そしてWSJは、中国だけでなく韓国もサプライチェーン問題の震源地となって世界経済の足を引っ張るリスクがあると警告しています。