コロナが映す医療の闇#2
Photo:PIXTA

日本にコロナによる死亡者が少ない何らかの理由「ファクターX」。これを突き止め世界の救世主となるべく、にわか専門家たちも次々参戦し、諸説が入り乱れている。特集『コロナが映す医療の闇』(全14回)の#02では、「ファクターX」と推測されている諸説の信頼度を検証する。(ダイヤモンド編集部 野村聖子)

欧米よりもはるかに少ない死亡者数
「日本の奇跡」はなぜ起きたのか

 欧米のようなロックダウン(都市封鎖)などによる強制的な措置を取らずに、あくまでも自粛レベルにとどまった日本の新型コロナウイルス対策。当初、欧米メディアからは「無策」「数週間後には大惨事になる」などと脅されていたが、ふたを開けてみれば、第2波が始まりつつある現時点でも、人口比で見た日本の感染者数や死亡者数は、欧米よりもはるかに少ない数字にとどまっている。

 欧米メディアは、アジアに対して潜在的に抱いていた自分たちの優位性が揺らいだことが悔しかったのか、これを「日本の奇跡」「ミステリー」などと皮肉を込めて報じたが、海外の専門家も一様に首をひねる現象だったのは間違いない。

 この謎について、ノーベル生理学・医学賞受賞者で京都大学iPS細胞研究所所長の山中伸弥氏は、何か日本特有の理由があるのではないかと、自身が開設しているコロナの情報サイトで発信し、これを「ファクターX」と名付けた。

人口当たり死亡者数で
上位は欧州諸国、日本127位

 下図は、各国・地域における人口100万人当たりの死亡者数を高い順にランキングしたものだ。

 上位はほぼ欧州諸国で占められ、その次にブラジルや米国などのアメリカ大陸諸国が並んでいる。

 日本は127位で、100万人当たりの死亡者数は8人。1位のサンマリノは1238人で、日本の150倍にもなる。2位のベルギーでも日本と100倍以上の差があり、同じウイルスによる感染症とはとても思えない数字である。

 一方で、東アジア諸国・地域の韓国や中国、台湾などは、日本よりも少ない。

 東南アジア諸国では、107位のフィリピンと108位のインドネシアを除けば、全て日本より下位。死亡者がいまだ0という国も複数ある。オーストラリアやニュージーランドなどのオセアニア諸国も下位に位置している。

 一般に、医療アクセスや社会インフラなどが整っていない発展途上国の方が感染症の脅威は大きい傾向があるが、ことコロナに関しては、欧米の先進国よりも途上国の方が死亡率が低いことも少なくない。そして、それは誤差や偶然ではとても片付けられないほどの差になっている。

 ファクターXは、東・東南アジアやオセアニアにも存在するということなのか――。