洗練されたふるまいで一目置かれる人に
―― 諏内さんの本の中にも、スマートで育ちの良さを感じさせるお辞儀ができる人が少ないと書いてありますね。
諏内 会社の研修や朝礼で、止まったまま30度のお辞儀をして、「おはようございます」「いらっしゃいませ」と挨拶する訓練をすることは多々あります。日常でも、訪問者や目上の方には、歩いていても立ち止まってご挨拶するのが基本です。しかし、一度ご挨拶をした方と再度お会いすることや、同僚、先輩とすれ違うこともたくさんありますよね。そんなとき、なんとなく首だけで会釈をしている方が多いのですが、歩きながらの美しい挨拶の仕方を知っていると、ぐっと品が表われます。
ですから、私のスクールでは、歩きながら止まらずに15度ほどの会釈のお辞儀をしながら「いらっしゃいませ」「おつかれさまです」と挨拶する練習をしていただきます。
ドアを開けながらの挨拶も、所作の美しさを意識なさらない方が多いのですが、美しく素敵に見えるコツがあるんですよ。私は、「ながら」行動は基本的にNGとお伝えしていますが、この2つの挨拶だけは例外で、生徒さんにも何回も練習してもらっています。
―― すれ違いながらの挨拶は、想像するだけで難しそうです。見本を見てみたい気もしますが……。
諏内 では、ここでちょっとやってみましょうか。
―― すごくきれいですね! アイコンタクトとお辞儀と歩き方のバランスが完璧で「この人、違う!」と思ってしまいました。
諏内「この人、違う」と感じると、それだけで印象が数段アップしますよね。品性は、そうした何気ない所作や仕草に表れやすいんです。自分が意識していないときこそ、周りの人によく見られていると思って、練習しておくといいですよ。
男性の場合は、レディファーストがスマートにできると、「この人、違う」と思われやすいです。また、上座、下座の席次ももちろん大切ですが、その上で、お花見の季節に、上座でなくても「桜が良く見えるこちらのお席はいかがですか?」とご案内できると、ワンランク上の大人の男性を感じさせますよね。俯瞰力がある人は、知識を前提としたうえで臨機応変の対処ができます。そこまでできると一目置かれる人になれるのです。
―― そういうことをいろいろ試して、「自分にもできる」と自信を持つことが次のステップにつながっていくわけですね。普段の生活のなかですぐに試せるコツで、他にお勧めはありますか?
諏内 女性は、気持ちがアップするものからなさると劇的にスキルが上がります。本にも書きましたが、靴の選び方や季節感を大切にした装い、年相応のみだしなみはとても大事です。また、美しいお辞儀の仕方、指先の所作、言葉遣いや話し方なども、普段の生活のなかですぐに実践できるのでオススメです。
男性の場合は、コミュニケーションが苦手な方が多いので、相づちの打ち方など、傾聴のパフォーマンスを意識されると相手の反応が手に取る様に変わってきますよ。
レディファーストも大事です。女性より先に座ってしまったり、レストランで出されたバターを先に取ったり、自分が先にどんどん歩いていってしまう男性もいますから。それは女性に対してだけでなく、目上の方や接待の相手にも大変失礼になってしまいますよね。席次では奥側が上座ですが、奥の席がお化粧室に近かったり、喫煙者が隣にいたら座る場所を変わってさしあげるなど、臨機応変の対処力も必要です。
【大好評連載】
第1回 『「育ちがいい人」だけが知っていること』の著者ってどんな人?
第2回 「育ち」とは何なのか?真の意味で、育ちがいい人の共通点
第3回 「この人、育ちがいいな」と思わせる3つのポイント
第4回 あぁ、やっぱり。お受験合格率95%!育ちがいい子の「親の教え」共通点