――売り上げを守るために服を作り過ぎるというのは、アパレル業界のあしき慣習です。

B そうなんです。「現場を見ろ」という言葉の意味も、ユニクロとそれ以外では異なります。ユニクロ以外の企業の言う現場を見ろは、「他社が何を売っているのか見ろ」という意味です。ディスプレーの美しさやコーディネートとかをまねしろというわけです。でも、ユニクロの場合、現場を見ろは「計画に対して数値が実行できているかを確認しろ」という意味なんです。根本の発想が違う。

C アパレルって開発に関して理解できる人が極端に少ないんです。

 メガベンチャーにいたときは、経営層も開発の知識が豊富で、専門用語で説明しても容易に理解してくれました。ところがストライプに来てみると、開発関係は外部に丸投げしていてスピード感がなく、さらに社内でその中身を理解できる人がいなかった。だから、僕が自分で関わっている部分を経営層に説明しなくてはいけないときは、「小学生でも分かる」というレベルまで落とすことを意識して話していました。

「助ける気が起きない」
百貨店とアパレルの関係が逆転?

――百貨店との付き合いはありましたか。

A もちろん。百貨店の売り場担当者って本当に偉そうなんですよ。新卒のときに百貨店の営業に配属されるのですが、売り場の人にはいじめられましたね。水曜日の休みを返上して売り場に来たら、百貨店の担当者が休んでいるとか(笑)。

――長い間、百貨店がアパレルを支配する構図でしたからね。

B 百貨店の人は「井の中の蛙」。昔はいい平場(テナント用の売り場)をもらえるかどうかが店の成否を左右するので、百貨店の売り場担当者はアパレルからあがめ奉られていました。でも、伊勢丹が自社PB(プライベートブランド)をやったら全然売れなくて、「結局アパレルがいなくちゃ何もできないじゃん」という空気になった。そのあたりから立場も変わってきましたね。

――特に偉そうな百貨店はどこですか。

B 伊勢丹出身の人は陰で「大伊勢丹」と呼ばれていました。業界のあちこちで出くわしますが、「私たちは別格」という雰囲気を醸し出している。「あの人は大伊勢丹ね」とこっそり嘲笑されています(笑)。

A 百貨店の売り場の社員って別に何かできるスキルがあるというわけでもないんです。それなのにアパレルに対して権力があって、ああだこうだ言うわけです。新人って無垢ですから、売り上げの責任は取らされるわ、休みは取れないわで、入社数年で辞めていく人も多いです。

B コロナのせいで百貨店は非常にきつい状況だと思いますけれど、アパレルの社員たちは百貨店にいじめられた経験がある人が多いので、正直助けたいという気持ちは起きないと思いますよ。

――日頃の行いは大事ですね。