没落貴族#3Photo by Nanako Ito、Rumi Soma

5月に公開された記事『コロナ禍のアパレル24社「余命」ランキング』で生存期間が2.9カ月と試算されたユナイテッドアローズ。特集『没落貴族 アパレル・百貨店』(全9回)の#3では、竹田光広社長が記事に反論するとともに、コロナ禍のアパレル企業のかじ取りの難しさを語る。(ダイヤモンド編集部 相馬留美)

キャッシュは残さず株主に還元する
そのために借入枠の増枠も

――『コロナ禍のアパレル24社「余命」ランキング』で生存期間が2.9カ月と試算した際は、取材を受けていただけませんでした。

 マスコミの方々が行動されることは当然自由ですが、事実と違うといいますか、受けた印象で私たちが大切にしているお客さまや従業員、従業員の家族、お取引先さまを含めてとても心配な状況に陥った。非常に風評的な要素であったというふうに思っています。

――他社と比較してキャッシュが圧倒的に少なかったのは事実です。配当の影響があまりにも大きい。

 会社のポリシーとしてROE(株主資本利益率)経営を重視していました。キャッシュを残すよりも株主さまへの還元というのがわれわれのポリシー。それを変えることは基本的にはしていません。ただし、今回は今までと環境が大きく変わりました。そういう意味で、もちろんキャッシュの充当性を視野に入れた中で、借入枠の増枠というような手は打っています。

――では今後もこの配当政策を続けると?

 いや、それはもう、今後の状況に応じてです。

――売り上げの回復状況についてはいかがでしょうか。8月の既存店売上高(インターネット通販含む)も、前年同月比85.3%と低調です。

 6月は緊急事態宣言の反動で良くなりましたが、7月以降は新型コロナウイルス感染拡大の第2波への懸念で、お客さま心理もマイナスに働きました。あとは気候もあります。

 ただ、春の2カ月間の休業によって、通常のプロパー販売期間や式典ニーズに向けて調達していた商材の販売機会がなくなったこともあり、とにかくこの時期を乗り越えることを優先したマークダウン(値引き)、セールで戦った。その考えを基に、この業界は2月と8月が売り上げのボトムですが、8月もセールをし続けたことが月次の売り上げに表れています。

――ユニクロは8月に前年同月比129.6%でした。

 すごいですよね。まさにお客さまのライフスタイルの変化に伴ったものだと思います。あとは経済の不安定さの影響や、密を避けられる郊外の店舗が多いからでしょうか。

――御社は不利では?

 そうですね。ただ都市型の店舗はECの併用を進めていますし、お客さまの志向もそちらにあります。