「好き」なものを選び取る人は出会いの精度も高まる
――それでも、「忙しくて片づけする暇がない」という人は、『Be Yourself』の第5章「自分を磨き続ける」からスタートしてもいいかもしれません。早起きする、大事な仕事は1日5つまでに絞る、ベッドメイキングするなど、どれも今すぐできるものばかりですよね。
川原:この本の中で、必ず読んでほしいのが第5章です。この章では、自分の生活の質を上げて、自分を大切にする方法をまとめました。『Be Yourself』という本のタイトルには、何よりも大切にすべきは自分であって、何があっても「自分ファースト」を貫いてほしい、というメッセージを込めています。
自分を大切にするには時間とお金を優先的に使うことも必要です。だから、夜はヨレヨレのジャージで寝ている人も、質が良くて体がよろこぶ寝間着や寝具に変えてみてください。僕は麻理恵さんに薦められて、シルクのパジャマを着て寝たとき、今まで味わったことがない幸福感に満たされて、「これ、気持ちいいー」と思えました。
早起きするのもおすすめです。僕は毎朝4時半には起きていて、夜明け前の冷たい空気を感じると、地球を独り占めしているような気分になります。幸福感で満たされた眠りから目が覚めて、シーンと静まり返った早朝の時間を一人で過ごしていると、全身が浄化されていくようで、自分の中にある感度が高まっていきます。朝食後には夫婦で散歩をしながらミーティングしたりもしています。
感度が高まるとどうなるか。まず行動を一つひとつ丁寧にするようになります。それまで無意識のうちにスルーしていた「気持ち悪さ」や「違和感」に気づきやすくなります。そして身につけるもの、食べるもの、使うものといった、いろいろなことに対する「好き」「嫌い」の判断力が高まって、自分らしさの精度が高まっていくんですね。そうすると人生の満足度も高まっていくんです。
――「自分ファースト」の生活レベルを維持すると、「自分を知る」感覚も研ぎ澄まされていくわけですね。
川原:そういうことです。その好循環が生まれると、仕事でも高いクオリティのものが出せるようになって、感性も磨かれていきます。企画書一つ作るのでも、今まではスルーしていたことが気になって細部にこだわるようになったり、人に対して自分がされたら嫌なことはしないような気遣いができるようになったり……。
逆に気持ち良くないもの、ときめきがないものを、見て見ぬふりして使い続けたり、部屋の中に溜め込んでいったりすると、自分が自分じゃなくなっていきます。それはすごくもったいない。人の目を気にせず、「私はこれが好き!」とはっきり選び取って生きる人のほうが、仕事や人との出会いの精度もグンと高まります。
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第1回目 「プロデューサーが明かす、こんまりのたった一つの強みとは?」
第2回目 「こんまりプロデューサーが推奨!過去を手放して軽やかに生きる道」