ビル・ゲイツとともにマイクロソフトの礎を築き、創業したアスキーを日本のIT産業の草分けに育てるなど、偉大な足跡を残しながら、その後、両社から追い出され全てを失った西和彦氏。そんな西氏の「半生」を『反省記』として著した本が大きな話題となっている。
マイクロソフトとも、ビル・ゲイツとも別れ、自ら立ち上げたアスキーとも訣別。人はそれを「失敗」と呼ぶかもしれないが、当の西氏は「すべては、今があるための必然」と語る。
人生の第三幕として「これから10年で大学を作る」と語る西氏に、これまでの人生と、これからについておおいに語ってもらった。(取材・構成 イイダテツヤ/撮影・疋田千里)
――そもそも、なぜ『反省記』という「半生を反省する物語」を書いたんでしょうか?
これは本の冒頭にも書いているんですが、最初はダイヤモンド社の編集者が「ハンセイキを書いてほしい」と言うから、「半生記」だと思って、「まぁ、いいかな」と思ったわけです。
ところが、よく聞いてみたら「半生記」じゃなくて『反省記』だって言うじゃないですか。人をつかまえて「反省しなさい」なんて失礼なことを言うんですよ。初対面の僕に向かって、よくもまぁそんな依頼ができるなぁと、これはあきれました(笑)。
――なるほど(笑)。
でも、考えてみたら『反省記』くらいでないと自慢話になってしまうし、それはそれでおもしろいと思いました。
実際に書いてみると、書いている途中で、どんどん細かいことを思い出してきて、リアルな情景まで浮かび上がってくるんです。『反省記』を書くにあたっての参考文献はありません。保存していた資料は参考にしたけど、基本的に、すべて僕の記憶の中から取り出したものです。
本を読んでもらえるとわかるのですが、細かいエピソードもたくさん出てきますけど、それがすべて頭に入っていたことに、自分でも「よく覚えていたな」という感覚はあります。
これからは年齢的にも、いろいろ忘れていくわけですから、ここで一気に書いてしまったのはよかったと思っています。「これで忘れてもいい」っていう感じです(笑)。