総予測#61

新型コロナウイルス対策の切り札とされるワクチン。英米など海外では接種も始まった。特集『総予測2021』(全79回)の#61では、免疫学の第一人者である宮坂昌之氏が、新型コロナワクチンはどこまで期待していいのか、心すべきは何なのかを語る。(ダイヤモンド編集部 小栗正嗣)

「週刊ダイヤモンド」2020年12月26日・2021年1月2日合併号の第1特集を基に再編集。肩書や数値など情報は原則、雑誌掲載時のもの。

ワクチン接種がより広まって
初めて見えてくる副反応リスク

 新型コロナウイルスのワクチンに注目が集まっています。

 日本政府が供給を受けることで合意している、あるいは契約を結んでいるのは、米ファイザーと米モデルナのメッセンジャーRNA(mRNA)ワクチン、それから英アストラゼネカのウイルスベクター(アデノウイルス)ワクチンの三つがあります。

 ファイザーと独ビオンテックが開発したワクチンが95%の有効性とうたうのをはじめ、いずれも90%以上の有効率があるとします。

 普通のワクチンの有効率は、例えばインフルエンザでは30%から良くても60%ぐらいですから、この数字はすこぶる高い。

 ただし、分析データを見てみると、注意する必要があることが分かります。問題は安全性です。