独禁法において
「国際線統合はできる」
航空会社の経営統合に伴う独禁法対応を複数担当してきた米ベーカー&マッケンジー法律事務所の井上朗弁護士によると、独禁法において「両社の国際線事業の統合はできる」。
具体的には「国際線という大きなくくりではなく、路線ごとに市場を独占しないかを判断していくことになる。基本的に路線の売り上げシェアで5割を占めていなければ問題ない。5割以上を占めている路線があっても超過分の発着枠を放棄すればクリアできる。審査は日本と路線を結ぶ国の双方の当局で受けることになる」という。
ただし、法律の枠外で「相手国と政治的な交渉が必要でやりにくいケースもある」と指摘する航空会社幹部もいる。
また、両社で5割以上のシェアを持つ国内線事業の統合についても「国が統合しようと判断するなら、独禁法の適用から除外するという特別法を国会で通すことで可能にすることはできる」と井上弁護士は言う。大事なのは政策ということだ。
新型コロナウイルスの感染拡大により、政府は年明けに緊急事態宣言を再び発令した。航空会社はさらなる地獄へ突き落とされている。現段階でANAHD、JALに統合の意思がなければ、強制できる者はいない。しかし、もし事態が変わったときに最適解に導けるように議論しておくタイミングではある。それほどに航空産業の今は厳しい。