災害が起こるたびにことさら話題に上る「タワマンの防災」。でも、本当のところはどうなのか。特集『タワマン 全内幕』(全14回)の#10では、俗説が飛び交うタワマンの防災力について、建築・都市工学の研究者が専門的見地から明らかにする。また、水害があった神奈川・武蔵小杉エリアのタワマン管理組合理事長が、タワマンの防災について入居者目線で詳らかにする。(ダイヤモンド編集部・鈴木洋子)
武蔵小杉タワマン水害事件の真相とは?
ちまたに横行する「タワマンは災害に弱い」説を徹底検証
「まるで事故物件」「売るに売れない」「高級タワマンのはずが悲惨なことに」――。
「タワマン」「水害」でグーグル検索すると、今でもこれでもかとヒットするのがこのようなおどろおどろしいタイトルの記事だ。そのどれもが「タワマンは災害に致命的に弱い」「高級物件で安全安心のはずなのに被災した」「地域の不動産相場が大暴落、物件の投げ売りが始まった」などなど、これでもかとタワマンの災害へのもろさをあおる内容となっている。
地震、水害、台風に毎年のように見舞われる日本に住んでいる限り、われわれはタワマン居住者か非居住者かを問わず災害リスクから逃れられない。「タワマンの防災力は弱い」というちまたに氾濫するメディアの記事はどこまで本当なのだろうか。
水害に見舞われた神奈川・武蔵小杉にあるタワマン管理組合という当事者と、タワマンの研究実績が多い建築と都市計画の研究者への取材から、何が2019年に起こったのか、そしてそれは現在どのように手当てされているのか。「タワマンは災害に弱い」は本当なのか。資産価値にも直結するうわさを徹底して検証した