これまでの常識は忘れよう グローバル時代で勝つ人材の流儀#3Photo:Aiko Suzuki,Mlenny/gettyimages

教育改革実践家として、日本の教育制度や教育の在り方について発信を続けながら、現在は「朝礼だけの学校」校長である藤原和博氏。元リクルート社フェローとして活躍した後、東京都杉並区立和田中学校や奈良県奈良市立一条高校の民間校長を務めたことでも有名だ。特集『グローバル時代に勝つ人材の流儀』(全6回)の#3では、イノベーションが起こらず30年間変わらない日本の産業界の抱える問題と、そんな現状を打破する人材はどのように育成すればいいのかについて、話を聞いた。(聞き手/校條 浩)

30年間変わらない日本の企業と社会
遠因は中等教育の「正解至上主義」

校條 この30年間、私は米国から日本企業を見てきました。私が拠点とするシリコンバレーでは毎日のように新しい企業やビジネスモデルが生まれ、経営手法や組織の文化、人材登用、評価などもどんどん変化しています。しかし、日本企業は全くと言っていいほど変わらない。これは教育の問題でもあると思うのですが、藤原さんはどうお考えですか。

藤原 僕は公教育のうち、小学校の初等教育はそんなに間違っていない気がしています。感性豊かな日本人を育てるということで、諸外国と比べてもかなりいい線いっている。特に算数の力は相変わらず国際的にもレベルは高いと思います。

藤原和博・教育改革実践家、「朝礼だけの学校」校長藤原和博・教育改革実践家、「朝礼だけの学校」校長

 一方で、中学校と高校の中等教育は、問題がある。まだ「正解至上主義」に凝り固まった教育をやっていて、なかなかその枠から出ていくことができていない。今の日本企業は、正解のない課題に取り組まなくてはいけませんが、教育は相変わらず正解がある前提の課題を正確に解くことを求めています。中・高の教育は、改善の余地が大いにあると思っています。