江戸時代の頃から南九州を中心に造られるようになったのが、焼酎だ。昭和45年(1970年)以降、何回かの焼酎ブームを経て全国的に楽しまれるようになった。一方でビールはどうだろう。最低製造数量が2000キロリットルというルールがあり、なかなか参入できない事情がビール業界にはあった。

「ビールは長らく大手メーカーのみでしたが、1994年のビール製造免許の緩和により、いわゆる地ビールが解禁され、ベンチャーやいろいろな業界が参入してきました。ここ27年ほどの動きです」

チーズはワインより日本酒に合う?
ペアリングから可能性を探る

 日本酒とワインのペアリングについて、食事との相性にも科学的な解明が進んでいる。和食の魚料理、特に干物はワインと合わせると生臭く感じるという。日本のワインメーカーが、ワインに含まれる鉄分が魚の油成分から生臭さを作り出してしまうことを発表している。一方、日本酒は鉄の含有量が低く、干物とも相性が良いことが知られている。

 また、酒類総合研究所が行ったチーズとのペアリングの実験では、味覚センサーを使ってうま味を計測。結果、ワインより日本酒の方が、チーズのうま味が引き立つことが判明している。

「チーズといえばワインの印象がありますが、これは欧州の食文化が関係しています。欧州では食事中にチーズをたくさん食べるため、ワインは口の中をリフレッシュする役割。日本酒はおつまみとしてチーズを楽しむのに最適。どちらも相性が良いのですが、その良さが違うということです」

 魚とのペアリングについては、調理法によっても相性の違いがあるようだ。

「ワインに合う魚料理といえばムニエルですが、同じく日本のワインメーカーによると、油でコーティングされるので生臭さを生じる反応が起きにくいそう。さらにレモンを搾ると、レモンに含まれるクエン酸が鉄分を取り込みますので、より反応しづらいそうです。レモンを搾ったムニエルは、欧州の伝統的なワイン産地の経験から生まれた知恵なのでしょうね」

 和食に日本酒が合うのは言わずもがな。しかし、実際にはチーズとも合うように、グローバル化を考えた時に、日本酒はまだ可能性を秘めていることがこの話から分かる。