薬局の数がついに6万店を超えた。医薬分業の波に乗り、病院の前に乱立する薬局。そんな増え過ぎた薬局にメスを入れるべく、8月から新たな薬局の認定制度がスタートした。薬局の“選別”を促す施策が次々と打ち出されている。特集『薬剤師31万人 薬局6万店の大淘汰』(全13回)の#1では、大淘汰時代を生き抜く薬局の条件を探った。(ダイヤモンド編集部副編集長 大矢博之)
「適切な薬局数に『収斂』」
中医協で医師会が“淘汰”を提言
「年々増加して6万店を超えた薬局が、適切な薬局数に『収斂』することができるかどうか。医療政策として国でもしっかり検討していただきたい」――。
11月26日、厚生労働省の中央社会保険医療協議会総会。日本医師会の城守国斗常任理事から“薬局淘汰”を促す爆弾発言が飛び出した。
中医協は診療報酬の“配分”を巡り、医師と薬剤師が火花を散らす場だ。薬剤師の取り分を減らすことができれば、その分医師が潤うことになるため、ポジショントークの要素も大きく含む。
それでも、この提言は政府にも心地よく響くだろう。膨れ上がる社会保障費を抑え込むため、政府は増え過ぎた薬局に警鐘を鳴らしていたからだ。財務省は2019年に薬局と他業種の店舗数を比較するグラフを、国の予算を審議する財政制度等審議会に提出。「開設許可に需給面からの規制がなく、薬局数が増加。コンビニやガソリンスタンド、郵便局よりも多い」とやり玉に挙げている。
厚労省が2月にまとめた衛生行政報告例で、19年度末時点の薬局数は前年度比0.9%増の6万0171店と、初めて6万店を超えた。飽和説が繰り返し唱えられるコンビニよりも薬局は多いのだ。
そんな増え過ぎた薬局を“選別”するような政策が今、次々と打ち出されている。