みずほが、不祥事を何度繰り返しても生まれ変われず、金融庁に「言うべきことを言わない、言われたことだけしかしない」と企業文化を酷評されるに至ったのはなぜか。その真相をえぐる本特集『みずほ「言われたことしかしない銀行」の真相』(全41回)の#15では、海外における銀行のシステム障害の事例を振り返る。海外では、システム障害が経営危機や巨額損失に発展したケースがいくつもある。具体的に見てみよう。

「週刊ダイヤモンド」2002年5月25日号特集「みずほ漂流銀行」を基に再編集。肩書や数値など情報は雑誌掲載時のもの。

経営危機にまで発展した
外銀システム障害の系譜

 銀行合併の本場・米国では大規模なシステム障害によって経営危機に瀕した銀行がかつてあり、オペレーショナル・リスク(業務運営リスク)に対する意識がもともと高い。

 代表例が、1996年に起こった大手米銀ウェルズファーゴのシステム障害である。同行は西海岸に拠点を置く優良銀行として知られていたが、地銀を吸収合併した際に、システム統合に失敗。小切手の支払いがストップするなど大規模な混乱を引き起こした。信用は丸つぶれになり、98年には他の広域地銀に救済される羽目に陥った。