みずほが、不祥事を何度繰り返しても生まれ変われず、金融庁に「言うべきことを言わない、言われたことだけしかしない」と企業文化を酷評されるに至ったのはなぜか。その真相をえぐる本特集『みずほ「言われたことしかしない銀行」の真相』(全41回)の#28では、「みずほ復活」を市場関係者が信じた2000年代半ばにさかのぼる。
02年の3行統合時に発生したシステム障害から3年。国内最大規模の顧客基盤を抱える“巨人”みずほは、「復活したと見ていいのでは」と市場関係者が語るほどまで状況が好転した。当時、グループ傘下の2バンクの指揮を執っていた頭取2人のインタビューをお届けする。みずほはその時、どのような戦略を描いていたのか。
業務提携の自由度を優先
リテールのプロを育てる
●杉山清次(みずほ銀行頭取)
リテール戦略は、法人業務と違い、不特定多数の個人を相手にする。ここをどう取り込んで収益に結び付けるかが課題だ。
ほかのメガバンクは消費者金融との資本提携に力を入れているが、このマーケットの顧客層は、投資信託など、ほかの金融商品を買ってくれる可能性が低く、商売に広がりがない。また、メガバンクが組めば、法律的にグレーゾーンである出資法の上限金利まで取れない一方で、貸倒率は高い。われわれは、メガバンクが踏み込むべき分野ではないと判断した。