本来、従業員の健康を維持する“防波堤”の役割を担っているはずの産業医――。だが、世の中には能力不足の「名ばかり産業医」がはびこっており、企業をむしばみつつある。一方、企業側も産業医を“コスト要因”と軽んじて有効活用できていない状況がある。働き方改革などを経て「健康経営」が浸透しつつある中、産業医の在り方もアップデートが迫られるだろう。特集『名ばかり産業医の闇』では、1月24日(月)から28日(金)までの全5回にわたり、その知られざる実情を暴く。(ダイヤモンド編集部 山本 輝)
#1 1月24日(月)配信
名ばかり産業医1万人跋扈のカラクリ、「本物はたった1200人」で名義貸しも横行の呆れた実態
全国で10万人以上いる認定産業医のうち、稼働しているのは3万人。専門の産業医ともなればわずか1000人しかいない。その結果、ちまたにあふれているのが選任義務のある事業所に名義だけを貸す「名ばかり産業医」だ。企業にとっては能力不足の産業医はリスクでしかないが、一方で企業側にも名ばかり産業医を求めざるを得ない事情がある。そのカラクリとは。
#2 1月25日(火)配信
「ブラック産業医判定」は紙一重、モンスター社員と企業の板挟みに悩むホワイト産業医
企業と結託して従業員を退職に追い込む「ブラック産業医」の存在が話題となった。ただし、労働者の権利を声高に主張する“モンスター社員”から、まともな産業医すらブラック産業医と呼ばれてしまう。産業医は、従業員に寄り添う立場と企業の労働顧問としての立場の「双方」が求められる難しい職業なのだ。また、働き方の多様化で働き手の労働問題は複雑化しており、メンタルケアなど産業医が注力すべき領域も広がっている。大きな苦悩を抱える産業医の実態に迫った。
#3 1月26日(水)配信
産業医「年収3000万円」でも大淘汰時代に突入、給料・キャリア事情を徹底解明
産業医はもうかる――。ある産業医はそう口にするが、一体その年収相場はどれくらいなのだろうか。また、約10万人いる認定産業医のうち、どのような医師が企業の現場に従事しているのか。産業医に求められるスキルが変容している中、早くもスキルのない産業医の淘汰が始まっている。
#4 1月28日(金)配信
日立・パナは「隠れ大病院」、産業医の確保力で中小・地方企業と大企業の格差鮮明
実は産業医を多く抱えているのは、製造業に属する企業だ。日本製鉄や日立製作所などがそうだが、大所帯の拠点を多く保有するためだ。もともと、産業医制度が工場要員などの健康管理を目的にスタートしたという歴史的経緯もあり、大企業には産業医を確保するコネクションがある。だがその一方で、中小企業や地方企業は産業医の選任に腐心しているのが実際のところだ。その驚きの格差の実態とは。
#5 1月29日(土)配信
花王の巧みな産業医活用術、7年連続「健康経営銘柄」選定の肝は“データで見える化”
ビジネスパーソンならば、健康経営を標榜することが企業の生命線であることは理解できるだろう。だが、実際にそれを実践するとなると高いハードルが立ちはだかるものだ。「健康経営銘柄」に7年連続で選定された花王の取り組みを通じて、産業医の活用法など“必要なエッセンス”を紹介しよう。
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