物流危機#4Photo:PIXTA

物流不動産は投資の観点から、立地に優れた首都圏など大都市近郊で開発するのが定石だ。だが、物流施設大手のプロロジスは、これまで未開拓だった岩手県盛岡市近郊で新たに施設開発を決めた。特集『物流危機』(全14回)の#4では、物流業界が抱える「2024年問題」の中にある不動産投資の商機を明らかにする。(ダイヤモンド編集部 大根田康介)

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コロナ禍で物流不動産に熱い視線
外資系が未開拓エリアに触手

「首都圏、近畿圏を中心に、福岡県、愛知県など都市部近郊が開発の主戦場になる」。物流施設を造る不動産開発会社は、口をそろえてそう話す。開発に当たり、物の消費量、入居希望企業が多いに越したことはない。施設内で働く人材、つまり労働力も確保する必要がある。必然的に人口が多い都市部近郊を中心に物流施設は開発されてきた。

 新型コロナウイルスの感染拡大は物流施設の開発を加速させた。投資家たちはこれまで、オフィスビル、マンション、ホテル、商業施設などへ積極的に投資してきた。ところがコロナ禍の影響により、リモートワークが浸透してオフィスビルの空室率は上昇。ホテルや商業施設は訪日外国人観光客の減少や外出自粛などで大打撃を受けた。

 そこで投資家たちが熱い視線を注いだのが物流不動産だった。巣ごもり需要でEC関連の物流量が増えたこともあり、物流施設の供給を物流ニーズが上回って投資や開発が盛んになったのである。

 そんな中、2002年に日本で初めて物流施設を開発して以来、物流不動産市場のトップリーダーである外資系のプロロジスは、物流施設の空白地帯である岩手県で、同社としては初となるマルチテナント型物流施設を開発することを決めた。

 岩手県は、これまで物流施設の開発が集中してきた大都市部近郊とは懸け離れた場所である。実は他の外資系も、未開拓エリアに触手を伸ばしている。そこには「物流の2024年問題」が深く関わっていた。