ニュースで見聞きした国、オリンピックやW杯に出場した国、ガイドブックで目にとまった国――名前だけは知っていても「どんな国なのか?」とイメージすることは意外と難しい。新刊『読むだけで世界地図が頭に入る本』(井田仁康・編著)は、世界地図を約30の地域に分け、地図を眺めながら世界212の国と地域を俯瞰する。各地域の特徴や国どうしの関係をコンパクトに学べて、大人なら知っておきたい世界の重要問題をスッキリ理解することができる画期的な1冊だ。この連載では、本書から一部を抜粋しながら、毎日1ヵ国ずつ世界の国を紹介する。
バルカン半島ってどんな地域?
バルカン半島は、ヨーロッパの南東部に位置し、地中海に突き出た半島です。スロベニア、クロアチア、ボスニア・ヘルツェゴビナ、セルビア、モンテネグロ、コソボ、北マケドニア、アルバニア、ギリシャなどがこの半島に領土をもちます。
また、西はアドリア海、イオニア海、北東は黒海、南東はエーゲ海に面し、エーゲ海には多くの島が点在します。
半島の付け根部分には、ドナウ川が流れ、黒海へと注いでいます。ドナウ川流域には、平原が広がりますが、全体として地形は複雑で多くの山地が入り組み、小さな平野が散在しています。
南部及び沿岸部の気候は、冬に雨が多く、夏に乾燥して暑さが厳しい地中海性気候ですが、内陸部の高地は冬の寒さが厳しい大陸性気候です。
バルカン半島の高地は森林に覆われ、一部では小麦やとうもろこしなどの穀物栽培が行われていますが、大規模な農業は見られません。
一方、アドリア海やイオニア海に面するクロアチアやギリシャの沿岸部では、夏の高温乾燥に強いオリーブやぶどうを栽培する地中海式農業が行われています。
民族紛争を繰り返した歴史
この地域は14世紀から20世紀初頭にかけて、北はオーストリア帝国、南はオスマン帝国の支配を受けていました。
そのため、民族や宗教が入り乱れており、それらの境界線が国境と一致しないことから、たびたび民族紛争が繰り返され、歴史的には「ヨーロッパの火薬庫」と呼ばれてきました。
数多くの歴史的建造物が世界遺産に登録
工業の発展は遅れ、経済的にもヨーロッパ域内での立ち遅れが目立ちますが、バルカン半島には、古代ギリシャ時代やローマ帝国時代をはじめとした、さまざまな時代の街並みや古い建造物が残されています。
これらの多くは世界文化遺産に登録され、農業や鉱工業だけでなく観光業も各国の産業を支える重要な柱となっています。
(本稿は、『読むだけで世界地図が頭に入る本』から抜粋・編集したものです。)