安倍晋三元首相の銃撃事件を発端として、宗教と「政治・カネ」への関心が大きく高まっている。しかし、宗教への無理解が誤解を生む側面も無視できない。そこで、経済メディアならではの視点で新宗教を切り取った週刊ダイヤモンドの特集を再掲し、特集『「新宗教」大解剖』としてお届けする。#2では、近年大きく変貌している創価学会に焦点を合わせる。日本の少子高齢化と人口減少を反映する形で会員数は縮小期に入ったとされ、戦前生まれの“カリスマ”喪失も迫る。
熱心な創価学会員を襲った
「極刑」に等しい除名の衝撃
「創価学会から除名する」――。埼玉県坂戸市の会社員、大隈喜孝氏(52歳、仮名)の自宅に、学会からその「通知書」が届いたのは、17年12月末のことだった。
21歳のとき、幼なじみから「折伏(しゃくぶく)」を受けて学会に入会して以来、機関紙「聖教新聞」の啓蒙や公明党の選挙支援にまい進し、地域の幹部を歴任した熱心な会員だった。その大隈氏にとって、除名は信仰を絶たれる「極刑」(大隈氏)に値する衝撃的なものだ。
そこに書かれていた処分の理由は、要するに大隈氏が「執行部批判の言動を続けた」というものだ。
ダイヤモンド編集部は、世間に公開されていない学会の「会員規程」を入手した。それによれば下図に示した通り、(1)~(4)に該当する行為があった場合、「会員を処分することができる」と規程されている。大隈氏は(1)や(3)には該当せず、「執行部批判」が(2)や(4)の「ふさわしくない行為」に抵触したと判断されたもようだ。
実は、執行部批判で除名されたのは大隈氏だけではない。さらに、除名に至らないまでも、全国各地で学会幹部から「査問」を受けたり、役職を解かれたりする会員が急増している。なぜそのような状況に陥ってしまったのか。その裏には、学会員が深める公明党への政治不信と「最強教団」創価学会の焦りが見え隠れする。