インサイダー IRジャパンの凋落#4Photo:nito100/gettyimages

IRジャパン急成長の裏には、上場企業に強まる株主圧力がある。アクティビストや機関投資家らの株主提案が近年増加し、可決されるケースも散見され始めた。そこで特集『インサイダー IRジャパンの凋落』(全7回)の#4は、今年の株主総会で多くの賛成を集めた株主提案をランキング化。株主圧力におびえる経営者が存在する限り、彼らの“駆け込み寺”としてIRジャパンのニーズは存在し続けそうだ。(フリーライター 村上 力、ダイヤモンド編集部副編集長 重石岳史)

日産や東急のグループ会社も!
「賛成が多かった株主提案」ランキング

「われわれは常に株主価値が上がるような具体的な提案を行っている」

 そう公言するのは、日系投資ファンドのストラテジックキャピタル代表、丸木強氏だ。野村證券退社後、1999年に村上世彰氏とM&Aコンサルティングを立ち上げた、いわゆる旧村上ファンドの創業メンバーの一人である。村上氏とたもとを分かち、2012年にストラテジックキャピタルを設立した後も、投資先企業に“物を言う”アクティビストとしての活動を続けている。

 株主価値が上がるという丸木氏の発言の根拠は、自らが投資した会社のPBR(株価純資産倍率)の推移にある。買い付け時の平均PBRは0.65。これが株主としてエンゲージメント(対話)を行った後、売却する際に0.95となる。そして売却3年後は1.10に株価のバリュエーションが上がっているという。

 ストラテジックキャピタルに限らず、投資先企業の価値を上げるべく株主が提案を行った総数は、今年6月時点の株主総会で過去最多の292件に上った。株主提案を受けた社数も最多の77社だ(下図参照)。

 ESG(環境・社会・企業統治)の重要性が増し、さらに新型コロナウイルス感染拡大で一時見送られていた投資先企業とのエンゲージメントが再開された影響が大きいとみられるが、中には経営刷新を狙った過激な提案もある。

 経営陣にとって恐ろしいのは、そうした一部の株主提案に対する支持率が上がっていることだ。その恐怖心こそが、株主対策を得意とするアイ・アールジャパン(以下IRジャパン)の潜在需要となる。

 それでは次ページから、どのような株主提案に多くの賛成が集まったかをランキング形式で見ていこう。