経営者が配偶者を
大切にすべきなのはなぜか
経営者にしかわからないことがあるものなのだ。そういう人生の先輩として尊敬できる人に、相談できるような環境や人間関係を作っておくことも、とても大切になる。
社内には副社長や役員を始め、仲間はたくさんいるが、相談したところでお互いに悩むだけで、なかなか解決策が見つかるものでもない。ましてや下手に部下に相談でもしようものなら、みんな浮き足立ったり、不安になってしまったりするから、絶対にやってはいけない。それでなくても、社長の様子がおかしければ、何も言わなくても社員たちはだいたい気がついてしまうものなのだ。社員はよく見ているのである。
社長とナンバーツー、副社長なり専務なりとの苦労やストレスの違いは、倍などというものではない。少なくとも3倍以上はある。ただ、ナンバーツーは社長経験がないのだから、このことがわからない。ナンバーツーが社長になって初めて、身をもって知ることなのだ。だから、ナンバーツーに過大な期待をしてはいけない。
その意味では、実はとても大切なのが、家族と言えるかもしれない。配偶者がいる場合には、率直に話してみるといい。事情もわからないし、相談相手にはならないかもしれない。聞いているだけかもしれない。しかし、ひとつ間違いなく言えることは、配偶者は無条件で経営者の応援者であるということだ。
だから、配偶者を大事にしなければいけない。男性経営者は、妻を大事にしなければいけない。女性経営者は、夫を大事にしないといけない。苦労したときにも応援してくれるのである。「そうなの」と聞いてもらえるだけでも、どれほど心強いか。
経営の状態がいいときにも、決して家族を粗末にしてはいけない。普段はどうってことのない空気のような存在かもしれないが、有事の際には改めて有難い存在であることに気づくだろう。