何をやっても変わらない
日本の若い世代の無力感はダントツ

 日本財団が2019年9月下旬から10月上旬にかけて、インド、インドネシア、韓国、ベトナム、中国、イギリス、アメリカ、ドイツ、そして日本の17~19歳、各1000人を対象に国や社会に対する意識を聞いた。

 そこで日本の若者たちだけで見られたのが、「どうせこの国は何もしても変わらないでしょ」と世の中に失望している者が圧倒的に多いという特徴だ。

「国に解決したい社会課題がある」と回答したのは各国で66.2%〜89.1%だが、日本は46.4%しかいなかった。また、「自分で国や社会を変えられると思う」という回答も日本は18.3%でダントツで低く、韓国(39.6%)の半分以下だ。国の将来像に関しても「良くなる」という答えはトップの中国(96.2%)の10分の1となる9.6%しかいなかった。

「最近の若者は根性がない、私が若い時は友人たちと朝まで政治について熱く語った」と嘆く全共闘世代も多いだろうが、この「異常な無力感」は若者のせいだけではないのではないか。

 何か問題が起きると、お祭りのようにバッシングが始まって盛り上がるが、「みそぎを済ませた」となると誰もそれ以上、責任を追及しない。そして冷静に振り返ると結局、根本的な問題は何も解決していない。そんなことを子どもの頃から延々と繰り返し見せつけられていれるのだ。「何をやってもこの国や社会は変わらないでしょ」と失望してしまう若者が、諸外国よりも増えるのも当たり前だ。

 今回の旧統一教会問題に関しても、当初あれだけ騒がれた「自民党との蜜月関係」「安倍晋三元首相との関係」もいつの間にやら忘却の彼方だ。教団イベントに参加したとか、「マザームーン」に挨拶したなんて批判された自民党議員たちも多くは次の選挙で再選するだろう。被害者救済法も骨抜きになったし、仮にこれから解散命令請求が出たところで、宗教法人格が剥奪されようが、旧統一教会が本当に「解散」をするわけではない。

 こういう一連の動きを見た若者たちは間違いなくこう思う。「なんやかんや言っても、日本って何も変わらねえよなあ」――。

 タピオカはブームが終焉した後も、ファンが定着して「ゴンチャ」などの人気店は活況だ。旧統一教会問題も同じように社会に定着するのか。それとも、30年前と同じように「もう済んだことだから水に流してよ」と言わんばかりに、忘れ去られていくのか。注目したい。

(ノンフィクションライター 窪田順生)