赤を色イメージ以外で使う
赤の他人/紅一点

●「赤の他人」の赤の意味

 まったく関係のない人のことを「赤の他人」といいます。なぜ「赤」なのでしょうか。「白の他人」のほうが知らない人のイメージがあります。白には「白紙」のような使い方もあるからです。

 ところが「赤」には「明らか」という意味があるのです。つまり「赤い色をした他人」ではなく「明らかに知らない他人」という意味で使われています。

 そして「赤」のもっている強いイメージが「他人」を強調しています。本当に関係のない、突き放した感じを表現しているのです。

●「紅一点」の紅は女性ではない

 男性の中に女性がひとり混ざっているときに使う「紅一点」。この言葉の由来は中国の詩人である王安石がつくった詩にあります。

 その詩は緑の草原に一輪のザクロの花が咲くだけで、春の風景は人を感動させてしまうという内容です。これが日本に入ってきたとき、たくさんある中でひとつだけ異色の存在があることのたとえや、大勢の中でひとりだけ秀でた才能があるときに指すものとして使われました。

 ところが「花」ということもあって、いつしか女性をたとえるようになり、男性たちの中にひとり女性がいる意味で使われるようになったのです。