老舗うどん店が直面した
「食べログ点数操作」の濡れ衣

 ふる里うどんの公式ツイッターに2022年10月下旬、食べログ上の口コミのスクリーンショットがアップされた。そこには、うどんや店内を撮影した数枚の画像とともに、利用客による以下のコメントが書かれていた。

「ここはわざわざ食べログを店がチェックして評価が気に食わないと価格コムに報告するようだ。クレームが来た。価格コムにお金を支払い点数調整しているようにしか思えない」(原文ママ、この投稿は既に削除されている)

 ふる里うどん店の店主・笠井輝氏いわく、事の発端は10月中旬に投稿された食べログの口コミにさかのぼる。その投稿には、ふる里うどんの出汁(だし)はイリコベースで、天ぷらはゴマ油で揚げていると書かれていた。

「実際には、出汁のベースはサバやムロアジなどの混合節で、イリコは香り付けに少し使っているだけ。天ぷらはゴマ油で揚げているわけではなく、最後に回しかける程度。この2点が事実と違っていたので、食べログの運営会社であるカカクコムに連絡しました」(笠井氏)

 ささいな違いに思えるかもしれないが、誤った調理法が世の中に出回ると、その情報を信じて来店した客をがっかりさせかねない。笠井氏はそうした事態を避けたかった。

 食べログの「口コミガイドライン」には、「事実関係の確認が困難(感想としての記述ではないもの)で、かつ他のユーザーやお店から『その内容は事実と異なる』という連絡があった口コミについては、食べログ側で連絡いただいた内容を元に確認し、本項に該当すると判断した場合には、当該口コミを削除する場合がございます」とある。

 このガイドラインに沿ったのだろう。数日後、当該の口コミは食べログ上から削除された。だが、事態はここで収まらなかった。削除を受けて新たに投稿されたのが、先の「価格コムにお金を支払い点数調整しているようにしか思えない」という口コミだった。この内容を受けて、笠井氏はこうツイッターに書き込んでいる。

「(前略)怒ったり悲しんだりはしてないけど、事実と違うからやめてと伝える事って悪い事なのか?食べログにお金なんか一切払っていないけどなぁ」(原文ママ)

 他の客の誤解を生まないよう、店主がしかるべき対応を取ると、「運営側を裏で動かして点数を操作している」と勘繰られる。その趣旨の投稿を、誰もが見られる形で公開される。

 投稿を見た消費者が、「何か問題があるお店なのでは」と感じた可能性もあるだろう。食べログの登場から17年以上がたった今でも、こんなことが起きてしまうのが匿名口コミの怖いところだ。