口コミと賢く付き合うためには、どうすればいいのか。以下は、自分のモノサシで口コミの信憑性を判断するための三つのヒントだ。

(1)「極端な数字」に目を向ける

 同じ業界や類似のサービス・商品に比べて口コミやレビューの数が不自然なほどに多かったり、口コミやレビューの投稿が特定の日に偏っていたりする場合には、何らかの情報操作が行われている可能性がある。

 誰もが口コミを利用する現代では、「口コミを書いた客に特典を提供する」といったキャンペーンを行っている店も多い。その結果、店側に気を使い、改善点に目をつぶって良い点を称賛するコメントが特定の期間中に集まりがちになる。

 また昨今は、口コミ投稿を有償で引き受ける「口コミ代行業者」が台頭し、ネット上で堂々と客を募集している。

 実態を見抜くためには、書き込まれた内容に具体性があるかどうか、不自然な言葉遣いがないかどうか――など、投稿内容を注意深くチェックすることをお勧めする。

(2)事業者の返信内容を読む

 Googleマップや宿泊予約サイトの「じゃらんnet」などは、消費者が書き込んだ口コミに事業者が直接返信できるようになっている。利用者から寄せられたコメントに、事業者がどのような言葉遣いで、どのような内容を返しているかに目を通そう。

 特に、ネガティブな口コミに対する返信は要チェックだ。ユーザーがつけた点数や、書き込んだ内容とは違う一面が見えてくることがある。

 また、明らかに謝罪の返答をコピペしている場合や、サイトの利用者から「以前の口コミで指摘されていた点が改善されていない」などと書かれている事業者は、消費者の声に真摯(しんし)に向き合っていない可能性がある。

(3)投稿者による他のレビューもチェックする

 極端に低い評価をつけているレビューや口コミについては、発信元のアカウントが他にどのような投稿をしているかをチェックしよう。

 過去の投稿内容に目を通してみて、否定的な言葉を使うことが多かったり、低評価をよくつけたりしている傾向があれば、あなたが目にしている口コミも実際よりネガティブに表現されているかもしれない。

 逆に、普段は冷静かつ前向きな投稿をしているのに、あなたが目にしたレビューだけは辛口だったとしたら、特別な理由があるのかもしれない。書き込まれている内容をじっくり読み返したうえで、その人の意見に賛同できるかどうかを判断しよう。

 当然のことだが、口コミや評価はあくまでも投稿する人の主観にすぎない。同じサービスや商品でも、人によって評価の基準や受け止め方は異なる。

 だからこそ、できるだけ複数の情報源に触れておこう。そうすることで、より多くの判断材料を得ることができ、納得のいく選択をしやすくなる。

 以上は消費者として口コミを利用するときの注意点だ。一方、口コミを書かれる側、つまりサービスや商品を提供する事業者はネガティブな口コミにどう対処すべきなのか。