談合疑惑は汚職事件と並行して捜査・調査が進められてきたとされるが、立件される時期は見通せず、構図も複雑だ。本稿では簡潔に解説するにとどめ、しかるべきタイミングで改めて記事にさせていただきたいと思う。
まず談合の疑惑が持たれているのは、オリ・パラ本番前に実施されたテスト大会計画立案などの業務委託事業の入札で、18年に26件実施された。電通など9社と1つの共同事業体が落札。1件あたり約400万~約6000万円で、総額約5億3800万円とされる。
容疑は独占禁止法違反(不当な取引制限)で、容疑者は前述の局次長や各企業だが、全国紙社会部デスクによると、業務は「運営局テストイベントマネジメント部」が担当し、広告代理店やイベント制作会社から出向していた社員らが受注調整していたとされる。平たく言えば「組織ぐるみ」で、出向した職員らも「共犯」に問われる可能性がある。
独禁法は法人が5億円以下の罰金、個人は5年以下の懲役または500万円以下の罰金だが、会社から出向を命じられて「戻ったら処遇する」と言われ、指示に従っただけのようだ。トバッチリで「犯罪者」の烙(らく)印を押されるのはゴメンだとばかりに、罪に問われぬよう、必死に捜査に協力しているもようだ。
JOCや政府、自治体が今なすべきは
「札幌への誘致」ではなく「恥の払拭」
談合の動機として、メジャーな競技以外に受注先があるのか不安があったとされ、実績のある企業ごとにまとめた表を作成。人気競技とセットで受注する随意契約を見据え、談合していたとみられている。
東京都公表分で少なくとも約200億円に上るとみられるが、入札がなく随意契約が前提であれば、当然に思いのままの金額で契約ができるわけだ。そこには、国民の税金が投入されているのはご存じの通り。
分かりやすく言えば、元次長が主導した「官製談合」的な色合いも出てくる。現時点でそのような情報は出てきていないが、万が一、相応の利益供与があり、その企業に見返りがあれば、受託収賄の罪に問われる可能性も出てくる。
どうも日本オリンピック委員会(JOC)や政府、北海道はこのさなかでも「30年札幌冬季五輪・パラリンピック」の誘致を模索していて「大変残念」「誠に遺憾」「イメージダウン」「再発防止を検討したい」など、「正気か?」とも思えるコメントを発信している。
世界に恥をさらした東京オリンピック・パラリンピック大会組織委員会。JOCが今なすべきことは「札幌への誘致活動」ではなく「恥の払拭」ではないだろうか。